楽天ビジネスカードのメリット デメリットや審査について徹底解説

楽天ビジネスカードのメリット、デメリットや審査について徹底解説

法人や個人事業主が事業を運営していく上で、経費の支払いや管理は避けて通れない重要な業務です。この経費管理を効率化し、さらにビジネスに役立つ特典を得るための強力なツールが「ビジネスカード(法人カード)」です。数あるビジネスカードの中でも、特にポイント還元率の高さと楽天市場での圧倒的な利便性で注目を集めているのが「楽天ビジネスカード」です。

この記事では、楽天ビジネスカードの基本的な特徴から、具体的なメリット・デメリット、そして多くの方が気になる審査のポイントまで、あらゆる角度から徹底的に解説します。個人向けの楽天カードとの違いや、申し込みに必須となる楽天プレミアムカードとの関係性、さらには他の人気ビジネスカードとの比較も交えながら、あなたのビジネスに楽天ビジネスカードが本当にマッチするのかを判断するための情報を提供します。

経費管理の効率化を目指す経営者の方、ポイントを賢く貯めて経費削減につなげたいフリーランスの方、そして設立間もないけれど信頼性のあるカードを持ちたいと考えているスタートアップの代表者の方まで、ぜひ最後までご覧いただき、最適な一枚を見つけるための参考にしてください。

楽天ビジネスカードとは

楽天ビジネスカードとは

楽天ビジネスカードは、楽天カード株式会社が発行する法人代表者および個人事業主向けのビジネスカードです。個人の支出と事業の経費を明確に分けることで、経理業務の透明性と効率性を高めることを主な目的としています。

このカードの最大の特徴は、楽天グループの強力な経済圏を活用したポイントプログラムと、ビジネスシーンで役立つ多彩な付帯サービスにあります。しかし、個人向けの楽天カードとは異なる点や、申し込みにあたってのユニークな条件も存在するため、まずはその基本的な仕組みを正しく理解することが重要です。

ここでは、楽天ビジネスカードの基本情報、個人向けカードとの違い、そして申し込みの必須条件である楽天プレミアムカードとの関係性について詳しく解説します。

楽天ビジネスカードの基本情報

楽天ビジネスカードは、日々の経費決済を通じて効率的に楽天ポイントを貯められるだけでなく、ビジネスの成長をサポートする様々な特典を備えています。まずは、その基本的なスペックを把握しましょう。

項目 内容
正式名称 楽天ビジネスカード
発行会社 楽天カード株式会社
国際ブランド Visa
年会費 2,200円(税込)
申し込み対象 法人代表者、個人事業主
ポイント還元率 通常1.0%(100円につき1ポイント)
楽天市場での還元率 SPU(スーパーポイントアッププログラム)により最大5倍など(条件あり)
追加カード 発行不可
ETCカード 年会費無料で複数枚発行可能
付帯保険 なし(楽天プレミアムカードの保険が適用)
キャッシング機能 なし
申し込み条件 楽天プレミアムカードを保有していること

(参照:楽天カード株式会社公式サイト)

この基本情報の中でも特に重要なのが、「楽天プレミアムカードの保有が必須」という点と、「追加カードが発行不可」である点、そして「ETCカードが年会費無料で複数枚発行可能」という点です。これらの特徴が、楽天ビジネスカードのメリット・デメリットに直結してきます。

年会費は2,200円(税込)と、ビジネスカードとしては比較的安価な設定ですが、後述するように楽天プレミアムカードの年会費11,000円(税込)が別途必要になるため、トータルコストで考える必要があります。

国際ブランドは現在「Visa」のみとなっています。Visaは世界中で加盟店数が非常に多く、国内はもちろん海外出張時でも決済に困ることはほとんどないため、ビジネス用途での利便性は非常に高いと言えるでしょう。

個人向け楽天カードとの違い

「すでに個人向けの楽天カードを持っているから、それで経費を支払えば良いのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、事業を運営する上では、個人用のカードと事業用のカードを明確に分けることが強く推奨されます。楽天ビジネスカードは、個人向けカードにはない、事業用途に特化した機能とメリットを備えています。

両者の主な違いを以下の表にまとめました。

比較項目 楽天ビジネスカード 個人向け楽天カード(一般)
利用目的 事業経費の決済 個人のショッピング、生活費など
引き落とし口座 法人口座または個人事業主名義の屋号付き口座が設定可能 原則、個人名義の口座
年会費 2,200円(税込) ※別途楽天プレミアムカード年会費が必要 永年無料
追加カード 発行不可 家族カードが発行可能
ETCカード 年会費無料で複数枚発行可能 年会費550円(税込)※条件により無料
利用明細 事業経費として明確化 個人の支出と混在
ビジネス特典 Visaビジネスオファーなどの優待あり なし
申し込み対象 法人代表者、個人事業主 18歳以上の方(高校生は除く)

(参照:楽天カード株式会社公式サイト)

最大の違いは、「引き落とし口座」にあります。楽天ビジネスカードでは、法人口座や屋号付き口座を設定できるため、会社の資金と個人の資金を完全に分離できます。これにより、経費の計上が容易になり、確定申告や決算時の帳簿付けの手間を大幅に削減できるのが大きなメリットです。税務調査の際にも、事業用の支出であることが明確に証明しやすくなります。

また、年会費無料で複数枚のETCカードを発行できる点も、社用車を複数台保有する法人にとっては見逃せない利点です。従業員ごとや車両ごとにETCカードを持たせることで、高速道路利用料金の管理が格段に楽になります。

一方で、個人向けカードは年会費が無料であるのに対し、楽天ビジネスカードは実質的な年会費がかかる点、従業員向けの追加カードが発行できない点などがデメリットとなります。これらの違いを理解し、事業の規模や形態に合わせて適切なカードを選択することが重要です。

楽天プレミアムカードとの2枚持ちが必須条件

楽天ビジネスカードを申し込む上で、最も特徴的かつ重要なルールが「楽天プレミアムカードを保有していること(または同時に申し込むこと)」です。楽天ビジネスカードは単体で申し込むことができず、必ず楽天プレミアムカードの付帯カードという位置づけになります。

つまり、楽天ビジネスカードを利用するためには、以下の2枚のカードをセットで保有する必要があります。

  1. 楽天プレミアムカード(年会費:11,000円/税込):メインカード。プライベートな支払いに利用。
  2. 楽天ビジネスカード(年会費:2,200円/税込):付帯カード。事業経費の支払いに利用。

この「2枚持ち」の仕組みは、一見すると複雑でコストがかかるように思えるかもしれません。しかし、この構造には明確な意図とメリットが存在します。

最大のメリットは、楽天プレミアムカードが持つ豪華な特典を、ビジネスカード利用者も享受できる点です。特に、世界中の空港ラウンジが利用できる「プライオリティ・パス」や、手厚い海外旅行傷害保険は、出張が多いビジネスパーソンにとって非常に価値の高いサービスです。これらの特典については、後の「メリット」の章で詳しく解説します。

この仕組みにより、利用者は1枚のメインカード(楽天プレミアムカード)でプライベートの豊かさを追求しつつ、もう1枚の付帯カード(楽天ビジネスカード)でビジネスの効率化を図る、という使い分けが可能になります。

ただし、この2枚持ちが必須であるため、年会費は合計で13,200円(税込)かかることになります。このコストを上回るメリットを感じられるかどうかが、楽天ビジネスカードを選ぶ上での重要な判断基準となるでしょう。次の章からは、その判断材料となる具体的なメリットを詳しく見ていきます。

楽天ビジネスカードの7つのメリット

ポイント還元率が常に1.0%以上と高水準、楽天市場の利用でポイントがさらに貯まりやすい、年会費無料でETCカードを複数枚発行できる、経費管理を効率化できる、Visaビジネスオファーなどのビジネス特典が利用可能、楽天プレミアムカードの特典も利用できる、福利厚生サービスをお得に利用できる

楽天ビジネスカードは、単に経費を支払うだけのカードではありません。楽天グループの強みを最大限に活かしたポイントプログラムや、ビジネスを円滑に進めるための様々な特典が付帯しています。ここでは、楽天ビジネスカードを導入することで得られる7つの大きなメリットを、具体例を交えながら詳しく解説します。

これらのメリットを総合的に理解することで、年会費13,200円(税込)の価値がどこにあるのか、そして自社のビジネスにとってどれだけ有益なのかが見えてくるはずです。

① ポイント還元率が常に1.0%以上と高水準

ビジネスカードを選ぶ上で、ポイント還元率は経費削減に直結する非常に重要な要素です。多くのビジネスカードの還元率が0.5%程度に設定されている中で、楽天ビジネスカードは通常利用でも常に1.0%という高水準のポイント還元率を誇ります

これは、100円の利用につき1ポイントの楽天ポイントが貯まる計算です。例えば、月々の経費決済額が50万円だった場合、毎月5,000ポイント、年間で60,000ポイントが貯まることになります。

月間経費決済額 獲得ポイント(月間) 獲得ポイント(年間)
30万円 3,000ポイント 36,000ポイント
50万円 5,000ポイント 60,000ポイント
100万円 10,000ポイント 120,000ポイント
200万円 20,000ポイント 240,000ポイント

貯まった楽天ポイントは、1ポイント=1円相当として楽天市場での支払いや楽天ペイ、カード利用代金の支払いに充当できるため、実質的なキャッシュバックとして機能します。年間60,000ポイントが貯まれば、それだけで年会費13,200円(税込)を大きく上回るリターンが得られる計算です。

仕入れ、広告費、公共料金、通信費、接待交際費、出張費など、事業で発生するあらゆる支払いを楽天ビジネスカードに集約することで、ポイントは面白いように貯まっていきます。この「支払いをまとめるだけで経費が削減できる」というシンプルな仕組みは、多忙な経営者や個人事業主にとって大きな魅力と言えるでしょう。

② 楽天市場の利用でポイントがさらに貯まりやすい

楽天ビジネスカードの真価が最も発揮されるのが、日本最大級のECサイト「楽天市場」での利用です。楽天ビジネスカードを使って楽天市場で決済すると、SPU(スーパーポイントアッププログラム)の恩恵を受け、ポイント還元率が大幅にアップします。

SPUとは、楽天グループの各種サービスを使えば使うほど、楽天市場での買い物がお得になるプログラムです。楽天ビジネスカードの利用者は、ベースとなる楽天プレミアムカードのSPU特典が適用されます。

具体的なポイントアップの例は以下の通りです。(※特典内容は変更される場合があるため、最新情報は公式サイトでご確認ください)

  • 楽天プレミアムカード利用特典: +2倍
  • 楽天ビジネスカード利用特典(楽天市場コース選択時): +1倍

これに通常の1%還元分を加えると、楽天市場での利用で常に4%以上のポイント還元が期待できます。さらに、楽天モバイルや楽天ひかりといった他の楽天サービスを契約していれば、還元率はさらに上昇します。

では、ビジネスで楽天市場をどのように活用できるでしょうか。具体例をいくつかご紹介します。

  • オフィス用品・消耗品の購入: コピー用紙、インク、文房具、ファイルなど、定期的に必要になる備品をまとめて購入。
  • PC・周辺機器の調達: 最新のパソコン、モニター、キーボード、プリンターなども楽天市場で探せます。
  • 来客用のお茶・コーヒー: オフィスに常備しておく飲料や菓子類も豊富に揃っています。
  • 贈答品・ギフト: お中元やお歳暮、取引先への手土産などを選ぶ際にも便利です。ラッピングサービスに対応している店舗も多数あります。
  • 福利厚生: 従業員へのプレゼントやイベントの景品なども、楽天市場で探せば効率的に見つかります。

これらの経費を楽天市場に集約し、楽天ビジネスカードで決済するだけで、他のどのカードよりも効率的にポイントを貯めることができます。特に、オフィス用品や贈答品の購入が多い業種にとっては、このメリットは計り知れないものとなるでしょう。

③ 年会費無料でETCカードを複数枚発行できる

車両をビジネスで利用する法人や個人事業主にとって、ETCカードは必須アイテムです。楽天ビジネスカードは、このETCカードに関する非常に大きなメリットを持っています。それは、年会費無料で、しかも複数枚のETCカードを発行できるという点です。

多くのビジネスカードでは、ETCカードの発行に年会費がかかったり、発行枚数が1枚に限定されていたりします。しかし、楽天ビジネスカードは本カード1枚に対して、必要な枚数のETCカードを追加発行できます。(参照:楽天カード株式会社公式サイト)

これは、以下のような事業者にとって極めて有益です。

  • 運送業・配送業: トラックや配送車など、多数の車両を保有している場合、車両ごとにETCカードを割り当てることで、経費管理が大幅に簡素化されます。どの車両がいつ、どの区間を走行したかが明細で一目瞭然になります。
  • 営業部門を持つ企業: 複数の営業担当者がそれぞれ社用車で移動する場合、担当者ごとにETCカードを貸与することで、立替払いや精算の手間がなくなります。
  • 建設業・設備工事業: 現場への移動で複数の車両を使用する際に、車両ごとの高速道路利用料を正確に把握できます。

楽天ビジネスカードの利用明細とETCカードの利用明細は別々に発行されるため、経費の仕訳も簡単です。年会費という固定コストをかけずに、車両関連の経費管理を劇的に効率化できる点は、楽天ビジネスカードならではの強力なメリットです。

④ 経費管理を効率化できる

ビジネスカードを導入する根源的な目的の一つが「経費管理の効率化」です。楽天ビジネスカードは、この点においても優れた機能を提供します。

最大のポイントは、前述の通り「法人口座」または「屋号付き口座」を引き落とし口座に設定できることです。これにより、事業用の支出が個人の生活費と混ざることがなくなり、公私混同を防げます。

この「公私分離」がもたらすメリットは多岐にわたります。

  • 経理処理の簡素化: 利用明細そのものが事業経費のリストとなるため、確定申告や決算時の仕訳作業が格段に楽になります。どの支払いが経費かを経費帳やレシートと一つひとつ突き合わせる手間が省けます。
  • 経費の見える化: ウェブ上の明細(楽天e-NAVI)で、いつでもどこでも利用状況を確認できます。「今月は広告費にいくら使ったか」「接待交際費が予算を超えていないか」などをリアルタイムで把握でき、的確なコスト管理につながります。
  • 税務上の信頼性向上: 税務調査が入った際も、ビジネスカードの明細を提示することで、事業に関連する支出であることを客観的に証明しやすくなります。

多くの会計ソフトでは、クレジットカードの利用明細データを自動で取り込む機能があります。楽天ビジネスカードの明細データを連携させることで、手入力の手間をほぼゼロにし、記帳業務を自動化することも可能です。

このように、楽天ビジネスカードは単なる決済手段に留まらず、バックオフィス業務の負担を軽減し、経営者がより本業に集中できる環境を整えるための強力なパートナーとなります。

⑤ Visaビジネスオファーなどのビジネス特典が利用可能

楽天ビジネスカードの国際ブランドはVisaです。これにより、Visaが提供する法人・個人事業主向けの優待プログラム「Visaビジネスオファー」を利用できます。

このプログラムでは、ビジネスの様々なシーンで役立つ割引や特典が提供されており、間接的な経費削減につながります。提供されるサービスは多岐にわたりますが、一例として以下のようなものがあります。(※内容は時期によって変動します)

  • オフィス用品: 特定のオフィス用品通販サイトでの割引。
  • 会計ソフト: クラウド会計ソフトの利用料金割引。
  • レンタルサーバー・ドメイン: Webサイト運営に必要なサーバーやドメインの料金優待。
  • 出張関連: 国内外のホテル予約サイトでの割引や、レンタカーの優待。
  • コンサルティング: 専門家による経営相談サービスの割引。

これらの特典をうまく活用することで、日常的に発生するコストを抑えることができます。例えば、これからウェブサイトを立ち上げようとしているスタートアップならレンタルサーバーの割引が、出張が多い企業ならホテルの割引が直接的なメリットになります。

楽天グループのサービスだけでなく、Visaが提供するグローバルなビジネスネットワークの恩恵も受けられる点は、楽天ビジネスカードの隠れた強みと言えるでしょう。

⑥ 楽天プレミアムカードの特典も利用できる

楽天ビジネスカードの利用者は、その母体となる楽天プレミアムカードの豪華な特典をそのまま利用できます。これが、年会費を支払ってでもこのカードを選ぶ大きな理由の一つです。特に、出張が多いビジネスパーソンにとっては、計り知れない価値があります。

国内・海外の空港ラウンジが利用可能

楽天プレミアムカードの最も有名な特典が、世界148カ国、600以上の都市にある1,500カ所以上(2024年時点)の空港ラウンジを利用できる「プライオリティ・パス」のプレステージ会員に無料で登録できることです。

通常、プライオリティ・パスのプレステージ会員になるには、年間469米ドル(1ドル150円換算で約70,000円)の年会費が必要です。(参照:Priority Pass公式サイト)これが楽天プレミアムカードの年会費11,000円(税込)だけで手に入るため、非常にお得です。

空港ラウンジでは、以下のようなサービスを無料で利用できます。

  • フリードリンク(ソフトドリンク、アルコール類)
  • 軽食、スナック
  • 無料Wi-Fi
  • 充電用コンセント
  • 新聞、雑誌の閲覧
  • シャワールーム(一部ラウンジ)

フライト前の待ち時間を、混雑したゲートエリアではなく、静かで快適なラウンジで過ごせるのは大きなメリットです。出発前にメールチェックや資料作成に集中したり、リラックスして長距離フライトに備えたりと、時間を有効活用できます。

年に2〜3回以上海外出張に行く機会があるなら、このプライオリティ・パス特典だけで楽天プレミアムカードの年会費の元が取れると言っても過言ではありません。国内の主要空港のラウンジも、もちろん利用可能です。

充実した海外旅行傷害保険

楽天プレミアムカードには、手厚い旅行傷害保険が付帯しています。この保険が、楽天ビジネスカードを利用した出張にも適用されます。

補償項目 補償最高額
海外旅行傷害保険
傷害死亡・後遺障害 5,000万円
傷害治療費用 300万円
疾病治療費用 300万円
賠償責任 3,000万円
携行品損害 50万円(自己負担3,000円)
救援者費用 200万円
国内旅行傷害保険
傷害死亡・後遺障害 5,000万円

(参照:楽天カード株式会社公式サイト)

特に注目すべきは、海外で病気やケガをした際の「傷害治療費用」と「疾病治療費用」がそれぞれ最高300万円まで補償される点です。海外での医療費は非常に高額になるケースが多いため、この補償は大きな安心材料となります。

ただし、これらの保険は「利用付帯」であることに注意が必要です。つまり、日本を出国する前に、募集型企画旅行(パッケージツアー)の料金や、搭乗する航空機・船舶の料金を楽天プレミアムカードまたは楽天ビジネスカードで支払っていることが保険適用の条件となります。この点については、デメリットの章で詳しく解説します。

⑦ 福利厚生サービスをお得に利用できる

楽天ビジネスカードの保有者は、楽天グループが提供するサービスを優待価格で利用できる場合があります。これは直接的なビジネス支援ではありませんが、経営者や従業員の満足度を高める「福利厚生」として活用できます。

例えば、楽天トラベルでの宿泊予約や、楽天ブックスでの書籍購入など、プライベートで利用する際にもポイントが貯まりやすく、お得なキャンペーンが頻繁に開催されています。

また、Visaビジネスオファーの中には、従業員も利用できる福利厚生サービスのアウトソーシングに関する優待が含まれていることもあります。これにより、大企業並みの福利厚生制度を、低コストで導入できる可能性が広がります。

従業員満足度は、人材の定着や生産性向上に直結する重要な経営課題です。楽天ビジネスカードをきっかけに、福利厚生の充実を検討してみるのも良いでしょう。

楽天ビジネスカードの4つのデメリット・注意点

合計で13,200円(税込)の年会費がかかる、追加カードは発行できない、海外旅行傷害保険は自動付帯ではない、キャッシング機能がない

楽天ビジネスカードは多くのメリットを持つ一方で、導入を検討する際には必ず把握しておくべきデメリットや注意点も存在します。特に、カードの基本的な構造に起因する制約は、事業の形態や規模によっては大きな問題となる可能性があります。

ここでは、後で「こんなはずではなかった」と後悔しないために、楽天ビジネスカードが持つ4つの主要なデメリットについて、その背景と具体的な影響を詳しく解説します。

① 合計で13,200円(税込)の年会費がかかる

楽天ビジネスカードの最大のデメリットとして挙げられるのが、年会費です。公式サイトには楽天ビジネスカードの年会費は「2,200円(税込)」と記載されていますが、これはあくまで付帯カードとしての料金です。

前述の通り、楽天ビジネスカードを保有するには、親カードである「楽天プレミアムカード」への加入が必須条件です。この楽天プレミアムカードの年会費が「11,000円(税込)」かかります。

したがって、楽天ビジネスカードを利用するために必要な年会費の総額は、2,200円 + 11,000円 = 13,200円(税込)となります。

近年は、年会費永年無料のビジネスカードも増えている中で、この13,200円というコストは決して安価ではありません。この年会費を支払う価値があるかどうかを慎重に判断する必要があります。

判断の基準となるのは、年会費を上回るメリットを享受できるかという点です。具体的には、以下の項目でコストを回収できるかどうかが鍵となります。

  • ポイント還元: 年間の経費決済額はどのくらいか? 1.0%の還元率で得られるポイントは、年会費を上回るか? 例えば、年間132万円以上の経費を決済すれば、13,200ポイントが貯まり、年会費を相殺できます。
  • 楽天市場での利用: 楽天市場での経費購入が多い場合、SPUによる高い還元率で、より少ない決済額で年会費の元が取れます。
  • プライオリティ・パスの利用: 年に数回でも海外出張に行く機会があるなら、プライオリティ・パスの特典だけで年会費以上の価値があると感じるでしょう。
  • ETCカードの利用: 複数台の社用車を持っており、他のカードでETCカードの年会費を支払っている場合、楽天ビジネスカードに切り替えることでコスト削減につながります。

これらのメリットを全く活用しない、例えば「海外出張には行かない」「楽天市場は使わない」「経費決済額が少ない」といった事業者にとっては、年会費が負担になるだけの可能性があります。自社の事業スタイルと照らし合わせ、コストとベネフィットを冷静に比較検討することが不可欠です。

② 追加カードは発行できない

これは楽天ビジネスカードの構造上の大きな制約であり、多くの法人にとって最もクリティカルなデメリットとなる可能性があります。楽天ビジネスカードは、代表者または個人事業主本人向けのカードであり、従業員用の追加カード(子カード)を発行することができません

つまり、カードを使って経費を支払えるのは、カード名義人の代表者ただ一人ということになります。

この制約は、以下のような状況で問題となります。

  • 複数の従業員が出張や接待で経費を使う企業: 営業担当者や各部門の責任者が、それぞれ経費を立て替えて後で精算する、という手間が発生します。経費精算システムの導入など、別の対策が必要になるでしょう。
  • 購買担当者がいる企業: 備品や資材の購入を特定の担当者に任せている場合、その担当者がカード決済できないため、都度代表者に依頼するか、立替払いをする必要があり、業務効率が低下します。
  • 複数役員がいる法人: 各役員がそれぞれ経費決済を行いたい場合、楽天ビジネスカードでは対応できません。

このカードが向いているのは、基本的に「経費決済者が社長や代表者一人に集約されている」スモールビジネスや個人事業主、フリーランスです。

もし、従業員にもカードを持たせて経費管理を効率化したいと考えているのであれば、楽天ビジネスカードは選択肢から外れ、三井住友カード ビジネスオーナーズやJCB CARD Bizなど、追加カードが発行可能な他のビジネスカードを検討する必要があります。この点は、導入前に必ず確認すべき最重要項目です。

③ 海外旅行傷害保険は自動付帯ではない

楽天ビジネスカードのメリットとして、楽天プレミアムカードに付帯する手厚い海外旅行傷害保険を挙げましたが、この保険の適用条件には注意が必要です。この保険は「自動付帯」ではなく「利用付帯」です。

  • 自動付帯: クレジットカードを持っているだけで、旅行代金の支払いにそのカードを使わなくても、海外へ行けば自動的に保険が適用される。
  • 利用付帯: 旅行に関連する特定の費用(公共交通乗用具の料金や募集型企画旅行の料金など)をそのクレジットカードで支払った場合にのみ、保険が適用される。

楽天プレミアムカードの場合、保険が適用されるためには、日本を出国する前に、以下のいずれかの代金を楽天プレミアムカードまたは楽天ビジネスカードで支払う必要があります

  1. 公共交通乗用具の料金: 搭乗する航空券、乗船する客船のチケット、利用する鉄道の乗車券、空港までのリムジンバスのチケットなど。
  2. 募集型企画旅行の料金: いわゆるパッケージツアーの代金。

(参照:楽天カード株式会社公式サイト)

例えば、マイルで特典航空券を発券し、カード決済が発生しなかった場合や、会社の経費規定で別の支払い方法が指定されている場合などには、保険が適用されない可能性があります。

海外出張の際には、必ず航空券やツアー代金を楽天カードで支払ったかどうかを確認する習慣をつけることが重要です。万が一、この条件を満たしていない場合は、別途、海外旅行保険に加入するなどの対策が必要になります。この「利用付帯」という条件を知らないままでいると、いざという時に補償が受けられないという事態に陥りかねないため、十分に注意してください。

④ キャッシング機能がない

楽天ビジネスカードには、キャッシング機能が付帯していません。つまり、このカードを使ってATMなどから現金を借り入れることはできません。

ビジネスにおいては、予期せぬ出費や急な仕入れなどで、手元の現金が不足する場面も考えられます。そのような際に、一時的に資金を調達する手段としてキャッシング機能は重宝されることがあります。

しかし、楽天ビジネスカードにはその機能がないため、急な資金需要には対応できません。もし運転資金の調達が必要になった場合は、以下のような別の方法を検討する必要があります。

  • ビジネスローン: 金融機関やノンバンクが提供する事業者向けの融資。
  • ファクタリング: 売掛債権(請求書)を買い取ってもらい、早期に現金化するサービス。
  • 日本政策金融公庫などからの融資: 国や地方自治体が提供する公的な融資制度。

もともとクレジットカードのキャッシングは金利が比較的高めに設定されているため、恒常的な資金調達手段として利用することは推奨されません。そのため、このデメリットの影響は限定的と考えることもできます。

しかし、「いざという時のための短期的なつなぎ資金を確保しておきたい」と考える経営者にとっては、キャッシング機能がない点はマイナスポイントとなるでしょう。資金繰りの選択肢の一つとしてキャッシングを想定している場合は、他のビジネスカードを検討する必要があります。

楽天ビジネスカードの審査を徹底解説

代表者(申込者)個人の信用情報、事業の安定性・継続性、申し込み内容の正確性

ビジネスカードを申し込む際に、誰もが気になるのが「審査」です。特に、設立して間もない法人や、独立したばかりの個人事業主にとっては、審査に通るかどうかは大きな関心事でしょう。

一般的に、法人カードの審査は個人向けクレジットカードよりも厳しいと言われていますが、楽天ビジネスカードの審査はどうなのでしょうか。ここでは、審査の難易度、申し込み対象者、審査期間、そして審査で重視されるポイントや落ちる原因について、詳しく解説していきます。

審査の難易度は比較的やさしい傾向

結論から言うと、楽天ビジネスカードの審査難易度は、他の多くのビジネスカードと比較してやさしい傾向にあると言われています。

その理由はいくつか考えられます。

  1. 申し込み対象の広さ: 設立間もない法人や開業直後の個人事業主も申し込み対象としており、事業実績の年数を厳しく問わない姿勢が見られます。
  2. 決算書や事業計画書の提出が不要: 申し込み時に、法人の決算書や個人事業主の確定申告書といった、事業の財務状況を示す書類の提出が原則として不要です。これにより、申し込みのハードルが大きく下がっています。
  3. 個人の信用情報が重視される: 楽天ビジネスカードは、楽天プレミアムカードの付帯カードという位置づけです。そのため、審査においては法人の経営状況だけでなく、申し込み者である代表者・個人事業主個人の信用情報(クレジットヒストリー)が非常に重視されます。過去に楽天カードや他のクレジットカード、ローンなどで延滞などの金融事故がなく、良好な利用実績を積んでいれば、審査に通過しやすくなります。

ただし、「やさしい傾向にある」というのは、あくまで相対的な評価です。誰でも必ず審査に通るわけではなく、総合的な判断によって結果は決まります。特に、個人の信用情報に問題がある場合は、審査通過は難しくなるでしょう。

「スタートアップやフリーランスに門戸を開いているが、個人の信用はしっかりと見る」というのが、楽天ビジネスカードの審査スタンスだと考えられます。

申し込み対象者

楽天ビジネスカードの公式サイトによると、申し込み対象者は以下のように定められています。

  • 楽天プレミアムカードを保有、または同時に申し込みをされる方
  • 原則として、20歳以上の法人代表者もしくは個人事業主の方

(参照:楽天カード株式会社公式サイト)

この条件をさらに掘り下げて見ていきましょう。

個人事業主やフリーランスでも申し込める

楽天ビジネスカードは、法人格を持たない個人事業主やフリーランスの方も問題なく申し込むことができます。開業届を提出して事業を始めたばかりの方でも対象となります。

屋号を持っている場合は、引き落とし口座に「屋号付き口座」を設定できるため、事業用の資金管理が非常にスムーズになります。確定申告(青色申告)の際にも、経費の仕訳が楽になるという大きなメリットがあります。フリーランスとして活動の幅を広げていく上で、社会的信用度を高めるツールとしても役立つでしょう。

設立・開業したばかりの法人でも申し込める

多くのビジネスカードが「設立3年以上、黒字決算2期以上」といった申し込み条件を設けている中で、楽天ビジネスカードは設立1年未満の法人でも申し込みが可能です。

前述の通り、決算書の提出が不要なため、まだ事業実績が乏しいスタートアップ企業にとっては非常にありがたい存在です。事業を開始した直後は、備品の購入やサービスの契約など、何かと物入りな時期です。初期段階からビジネスカードを導入することで、キャッシュフローの管理や経費処理の効率化を図ることができます。

ただし、事業の実態が全くないと判断されると審査に影響する可能性があるため、法人の登記が完了していることや、固定電話番号、公式ウェブサイトなど、事業を行っていることを客観的に示すものを用意しておくと、より審査がスムーズに進むでしょう。

審査にかかる期間

申し込みからカードが手元に届くまでの期間は、申し込み者の状況や審査の混雑具合によって変動しますが、一般的な目安は以下の通りです。

審査期間:約1〜2週間程度

楽天ビジネスカードは楽天プレミアムカードと同時に申し込むケースが多いため、まず楽天プレミアムカードの審査が行われ、それに通過すると続いて楽天ビジネスカードの審査が行われます。

全体の流れとしては、申し込みから審査結果の連絡まで数日〜1週間、その後カードが郵送されて手元に届くまでさらに1週間程度かかると考えておくと良いでしょう。

申し込み内容に不備があったり、確認事項が発生したりした場合は、さらに時間がかかることもあります。特に、法人の場合は登記情報との照合などが行われるため、個人カードよりは時間がかかる傾向にあります。利用開始したい時期が決まっている場合は、余裕を持って申し込むことをおすすめします。

審査で重視されるポイント

楽天ビジネスカードの審査では、具体的にどのような点がチェックされるのでしょうか。公表はされていませんが、一般的に以下のポイントが総合的に判断されていると考えられます。

  1. 代表者(申込者)個人の信用情報:
    • 最も重要なポイントです。信用情報機関(CIC、JICCなど)に登録されているクレジットヒストリーが照会されます。
    • 過去のクレジットカードやローンの支払いで延滞、遅延、債務整理などの記録(いわゆる金融事故情報)がないかどうかが厳しくチェックされます。
    • 楽天グループのサービス(楽天カード、楽天モバイルなど)の利用状況も影響する可能性があります。良好な利用実績があればプラスに、延滞などがあればマイナスに働くでしょう。
  2. 事業の安定性・継続性:
    • 決算書の提出は不要ですが、事業が安定して継続的に運営されているかは見られます。
    • 事業運営年数が長いほど、安定性が高いと評価されやすくなります。
    • 法人の場合は資本金の額も一つの指標と見られることがあります。
    • 固定電話の有無公式ウェブサイトの存在は、事業の実態を示す上でプラスに働く要素です。
  3. 申し込み内容の正確性:
    • 入力された情報に誤りや虚偽がないかは、厳しくチェックされます。特に、住所、氏名、生年月日、電話番号などの基本情報に間違いがないように注意が必要です。
    • 法人の場合は、登記情報と申し込み内容が一致している必要があります。

審査に落ちる主な原因

一方で、審査に落ちてしまう場合には、いくつかの共通した原因が考えられます。もし審査に不安がある場合は、以下の項目に当てはまっていないかを確認してみましょう。

  • 代表者の信用情報に問題がある:
    • 過去5年〜10年以内にクレジットカードやローンの長期延滞、強制解約、債務整理(自己破産、任意整理など)の履歴がある場合、審査通過は極めて困難です。
    • 短期間に複数のクレジットカードを申し込んでいる(いわゆる「申し込みブラック」の状態)場合も、資金繰りに困っていると見なされ、審査に通りにくくなります。
  • 申し込み内容の不備や虚偽:
    • 単純な入力ミスでも審査が保留になったり、否決されたりすることがあります。
    • 意図的に年収や事業内容を偽って申告した場合、発覚すれば即座に審査に落ちるだけでなく、今後のカード申し込みにも悪影響を及ぼします。
  • 事業の実態が確認できない:
    • 自宅兼事務所で固定電話がなく、携帯電話番号のみで申し込んだ場合や、事業内容が不明確な場合、事業の実態が疑われることがあります。
    • 法人の登記が完了していない、あるいは事業所として記載した住所に実態がない場合も同様です。
  • 楽天カードの既存会員で問題があった:
    • すでに個人向けの楽天カードを保有していて、過去に支払いの遅延などを繰り返している場合、その情報が審査に影響し、ビジネスカードの発行が見送られることがあります。

これらの原因に心当たりがないにもかかわらず審査に落ちてしまった場合は、一定期間(最低でも6ヶ月)を空けてから、信用情報や事業の状況を改善した上で再挑戦することをおすすめします。

楽天ビジネスカードの申し込みから発行までの4ステップ

楽天プレミアムカードを申し込む、楽天ビジネスカードを申し込む、申し込みに必要な書類を準備する、審査完了後にカードが発送される

楽天ビジネスカードを手に入れるまでの手続きは、他の一般的なクレジットカードとは少し異なる部分があります。特に、楽天プレミアムカードとの関係性を理解しておくことがスムーズな申し込みの鍵となります。

ここでは、楽天ビジネスカードの申し込みからカードが手元に届くまでの流れを、4つの具体的なステップに分けて分かりやすく解説します。

① 楽天プレミアムカードを申し込む

楽天ビジネスカードは単体では申し込めません。必ず、親カードとなる「楽天プレミアムカード」を持っているか、もしくは同時に申し込む必要があります。

【すでに楽天プレミアムカードを持っている場合】
この場合は、ステップ②に進みます。会員専用オンラインサービス「楽天e-NAVI」から、楽天ビジネスカードの追加申し込み手続きを行います。

【楽天プレミアムカードを持っていない場合】
これから申し込む方の多くはこちらに該当するでしょう。この場合は、楽天カードの公式サイトから「楽天プレミアムカード」の申し込み手続きを開始します。申し込みフォームの中で、「楽天ビジネスカードを申し込む」というチェックボックスや選択項目がありますので、必ずそこにチェックを入れるのを忘れないでください。

ここでチェックを入れることで、楽天プレミアムカードと楽天ビジネスカードの同時申し込みが完了します。

申し込み時には、氏名、住所、生年月日、勤務先情報(法人の場合は法人名、個人事業主の場合は屋号など)、年収、引き落とし口座情報などを入力します。入力内容に間違いがないか、送信前に必ず確認しましょう。

② 楽天ビジネスカードを申し込む

このステップは、前述の通り、楽天プレミアムカードの申し込みと同時に行われるのが一般的です。

プレミアムカードの申し込みフォーム内で、ビジネスカードに関する追加情報の入力を求められます。主に以下のような情報が必要となります。

  • 法人種別: 株式会社、合同会社、個人事業主などを選択します。
  • 法人名または屋号: 登記簿謄本や開業届に記載されている正式名称を入力します。
  • 事業内容: 具体的な事業内容を選択または記述します。
  • 設立年月日または開業年月日:
  • 法人口座または屋号付き口座の情報: ビジネスカードの利用代金引き落とし用の口座情報を入力します。

ここで入力する事業に関する情報が、審査の対象となります。特に、法人名や設立年月日などは登記情報と照合されるため、正確に入力することが重要です。

すでに楽天プレミアムカードを保有している方が追加で申し込む場合は、「楽天e-NAVI」にログイン後、メニューから「カードの追加・切り替え」といった項目を探し、「楽天ビジネスカードのお申し込み」へ進んでください。画面の指示に従って必要な情報を入力すれば手続きは完了です。

③ 申し込みに必要な書類を準備する

楽天ビジネスカードの申し込みは、原則としてオンラインで完結し、決算書や確定申告書といった事業実績を示す書類の提出は不要です。ただし、申し込み完了後、本人確認のために書類の提出が必要となります。

必要な書類は、申し込み者が「法人代表者」か「個人事業主」かによって異なります。

【法人代表者の場合】

  • 代表者個人の本人確認書類: 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどのコピー。
  • 法人の本人確認書類: 6ヶ月以内に発行された登記簿謄本(履歴事項全部証明書または現在事項全部証明書)の原本またはコピー。

【個人事業主の場合】

  • 申込者本人の本人確認書類: 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどのコピー。

これらの書類は、申し込み後に楽天カードから送られてくる案内(メールや郵送)に従って提出します。ウェブアップロードや郵送などの方法が指定されます。

特に、法人の場合は登記簿謄本を事前に準備しておくと、手続きがスムーズに進みます。法務局の窓口や郵送、オンラインで取得できますので、申し込みと並行して手配しておきましょう。

④ 審査完了後にカードが発送される

必要書類の提出が完了すると、楽天カード側で最終的な審査が行われます。審査結果は、通常、申し込み時に入力したメールアドレスに通知されます。

無事に審査を通過すると、「カード発行手続き完了のお知らせ」といった件名のメールが届きます。その後、約1週間〜10日程度でカードが発送されます。

カードは、セキュリティの観点から「本人限定受取郵便」または「簡易書留」で送られてきます。

  • 本人限定受取郵便: 郵便局から到着通知書が届き、自宅への配達を依頼するか、郵便窓口で受け取ります。受け取りの際には、運転免許証などの顔写真付き本人確認書類の提示が必須です。申込者本人しか受け取れないため注意が必要です。
  • 簡易書留: 対面での受け取りが必要ですが、同居の家族でも受け取りが可能です。

カードが手元に届いたら、裏面の署名欄にサインをし、同封されている会員規約などを確認しましょう。楽天e-NAVIへの登録手続きを行えば、利用明細の確認や各種設定がウェブ上でできるようになります。

以上が、申し込みからカード発行までの大まかな流れです。楽天プレミアムカードとの同時申し込みが基本となる点を押さえておけば、手続きに戸惑うことは少ないでしょう。

楽天ビジネスカードはこんな人・法人におすすめ

これまで解説してきたメリット・デメリット、そして審査の特性を踏まえると、楽天ビジネスカードが特に高い価値を発揮する人や法人の姿が具体的に見えてきます。すべての事業者にとって最適なカードというわけではなく、特定のニーズや事業スタイルに強くマッチするカードです。

ここでは、楽天ビジネスカードを導入することで、その恩恵を最大限に享受できるのはどのような人・法人なのか、4つの具体的なケースを挙げて解説します。

楽天市場で経費決済をすることが多い

これが、楽天ビジネスカードを推奨できる最も代表的なケースです。日々の経費支払いや仕入れで、楽天市場を頻繁に利用する事業者にとって、このカードは他の追随を許さないほどのメリットを提供します。

SPU(スーパーポイントアッププログラム)により、楽天市場でのポイント還元率は常に高水準に保たれます。通常の経費決済(還元率1.0%)で貯まるポイントに加えて、楽天市場での利用でさらに多くのポイントが上乗せされるため、ポイントの貯まるスピードが加速します。

具体的には、以下のような経費を楽天市場で支払っている、あるいはこれから支払うことを検討している事業者におすすめです。

  • オフィス用品・消耗品: 文房具、コピー用紙、トナーカートリッジ、ファイルなど、定期的に購入が必要な備品。
  • IT関連機器: パソコン、モニター、プリンター、ネットワーク機器などの設備投資。
  • 店舗運営備品: 小売店や飲食店で使う什器、装飾品、消耗品など。
  • 贈答品: 取引先へのお中元・お歳暮、記念品、祝い品など。楽天市場はギフトセレクションも豊富です。
  • 福利厚生: 従業員への誕生日プレゼントや、社内イベントの景品。

これらの支払いを楽天ビジネスカードに集約すれば、年間の獲得ポイントは膨大なものになります。貯まったポイントを次の備品購入に充てたり、カードの支払いに充当したりすることで、実質的な経費削減効果は非常に大きくなります。 もしあなたのビジネスが楽天経済圏に深く関わっているなら、このカードは必携の一枚と言えるでしょう。

ポイント還元率を重視している

ビジネスカードを選ぶ基準として、「とにかくポイントやマイルを効率的に貯めたい」という還元率重視の方にも、楽天ビジネスカードは非常に魅力的な選択肢です。

多くのビジネスカードのポイント還元率が0.5%程度である中、楽天ビジネスカードは場所を選ばずに一律1.0%の還元率を誇ります。これは、法人カードの中でもトップクラスの水準です。

公共料金(電気・ガス・水道)、税金(一部自治体)、通信費、サーバー代、広告宣伝費、交通費、接待交際費など、事業運営には様々な支払いが発生します。これらの支払いをすべて楽天ビジネスカードに集約することで、特別なことをしなくても着実にポイントが貯まっていきます。

年間経費決済額が500万円の事業者の場合、単純計算で年間50,000ポイントが貯まります。これは年会費13,200円を差し引いても、36,800円分のプラスリターンです。決済額が大きくなればなるほど、その恩恵は増大します。

年会費というコストを支払ってでも、それを上回るポイントリターンを得たいと考える合理的な経営者やフリーランスにとって、楽天ビジネスカードの1.0%という還元率は非常に強力な武器となります。

ETCカードを複数枚利用したい

営業車や運搬用のトラックなど、事業で複数の車両を日常的に使用する法人や個人事業主にとって、楽天ビジネスカードは経費管理の救世主となり得ます。

その理由は、年会費無料でETCカードを必要な枚数だけ発行できるからです。

多くのビジネスカードでは、ETCカードの発行に年会費(1枚あたり550円程度)がかかったり、発行枚数が1〜数枚に制限されていたりします。例えば、10台の社用車があれば、それだけで年間5,500円のETCカード年会費がかかる計算です。

楽天ビジネスカードなら、このコストが一切かかりません。車両ごとにETCカードを割り当て、それぞれのカードの利用明細を確認することで、どの車両がいくら高速道路を利用したかが一目瞭然になります。これにより、煩雑だった高速料金の経費精算業務から解放されます。

  • 運送業、建設業、設備工事業: 多くのトラックや作業車を保有する業種。
  • 営業部門を持つ企業: 全国の支店や顧客先へ車で移動する営業担当者が多い企業。
  • レンタカー事業、カーシェアリング事業: 事業用の車両管理が重要な業種。

これらの事業者にとって、ETCカードの無料複数枚発行は、直接的なコスト削減と業務効率化を同時に実現する、極めて価値の高いメリットです。

設立・開業して間もない

設立1年未満のスタートアップ企業や、独立したばかりのフリーランス、個人事業主にも、楽天ビジネスカードはおすすめです。

その最大の理由は、審査のハードルが比較的低いことにあります。多くの金融機関が「設立3年以上・黒字決失算2期以上」といった厳しい条件を課す中で、楽天ビジネスカードは事業実績がまだ浅い事業者にも門戸を開いています。

申し込み時に決算書や事業計画書の提出が不要なため、煩雑な書類準備の手間もありません。審査では事業の財務状況よりも、代表者個人の信用情報(クレジットヒストリー)が重視されるため、これまで個人としてクレジットカードの支払いをきちんと行ってきた方であれば、審査に通る可能性は十分にあります。

事業を始めたばかりの時期は、何かと物入りで、資金繰りも安定しないことが多いものです。そのような中で、以下のようなメリットは非常に大きいでしょう。

  • キャッシュフローの改善: カード決済なら支払いを翌月以降に先延ばしできるため、手元の現金を温存できます。
  • 経費管理の確立: 事業開始当初から公私を明確に分離し、経費管理の仕組みを整えることができます。
  • 社会的信用の獲得: 法人名義や屋号名義のクレジットカードを持つことで、取引先からの信用度向上にも繋がります。

他のビジネスカードの審査に不安を感じている創業者や、最初の一枚として信頼できるビジネスカードを持ちたいと考えている方にとって、楽天ビジネスカードは有力な選択肢となるはずです。

他の人気ビジネスカードとの比較

楽天ビジネスカードの特性をより深く理解するためには、他のビジネスカードと比較することが有効です。ここでは、それぞれ異なる特徴を持つ人気のビジネスカードを3つ取り上げ、楽天ビジネスカードとの違いを明確にします。これにより、あなたのビジネスにとって本当に最適なカードがどれなのかを見極める手助けとなるでしょう。

カード名 楽天ビジネスカード 三井住友カード ビジネスオーナーズ JCB CARD Biz マネーフォワード ビジネスカード
年会費(税込) 13,200円
(プレミアムカード11,000円+ビジネスカード2,200円)
永年無料
(一般カードの場合)
1,375円
(オンライン入会で初年度無料)
無料
ポイント還元率 1.0%
(楽天市場でさらにアップ)
0.5%
(特定加盟店で最大1.5%)
0.5%〜
(パートナー店でアップ)
0.5%〜1.0%
追加カード 発行不可 発行可能 (年会費無料) 発行可能 (年会費1,375円/枚) 発行可能 (無料)
ETCカード 年会費無料で複数枚発行可能 年会費550円/枚
(年1回以上の利用で翌年度無料)
年会費無料 発行不可
付帯保険 海外:最高5,000万円(利用付帯)
国内:最高5,000万円(利用付帯)
海外:最高2,000万円(利用付帯)
国内:なし
海外:最高3,000万円(利用付帯)
国内:最高3,000万円(利用付帯)
なし
特徴 ポイント高還元、楽天市場、プライオリティ・パス 年会費永年無料、追加カード無料 JCBプロパー、サイバーリスク保険 プリペイド型、審査なし、高額決済対応
公式サイト 楽天カード株式会社 三井住友カード株式会社 株式会社ジェーシービー 株式会社マネーフォワード

三井住友カード ビジネスオーナーズ

三井住友カード ビジネスオーナーズは、コストをかけずにビジネスカードを導入したいと考える事業者にとって、非常に有力な選択肢です。

最大の特徴は、一般カードであれば年会費が永年無料であることです。さらに、従業員向けの追加カードも年会費無料で発行できるため、複数人で経費決済が必要な企業にとっては楽天ビジネスカードの弱点を完璧にカバーする存在と言えます。

ポイント還元率は通常0.5%と楽天ビジネスカードに劣りますが、Amazon.co.jpや特定のガソリンスタンドなど、対象の特約店で利用すると還元率がアップする特典があります。

また、三井住友カードが発行する個人カード(ナンバーレスなど)との2枚持ちで、特定の加盟店での還元率がさらにアップする「Vポイントアッププログラム」も魅力です。

楽天ビジネスカードとの比較ポイント:

  • コスト面: 年会費・追加カード費用が無料のビジネスオーナーズが圧倒的に有利。
  • 汎用性: 従業員にカードを持たせたいならビジネスオーナーズ。
  • ポイント還元: 通常利用や楽天市場での利用では楽天ビジネスカードが有利。

こんな人におすすめ:

  • とにかくコストを抑えたい個人事業主や法人。
  • 従業員にカードを持たせて経費精算を効率化したい企業。

JCB CARD Biz

JCB CARD Bizは、日本唯一の国際ブランドであるJCBが発行するプロパーカードです。JCBならではの豊富な優待サービスと、プロパーカードとしての信頼性を求める事業者に向いています。

年会費は1,375円(税込)と手頃で、オンライン入会なら初年度は無料です。ポイント還元率は0.5%が基本ですが、スターバックスやセブン-イレブンなどのJCBオリジナルシリーズパートナーで利用するとポイントがアップします。

特筆すべきは、サイバーリスクに対応した保険が自動付帯している点です。万が一、不正アクセスによる情報漏洩などが発生した際の見舞金費用などが補償されるため、ITを活用する現代のビジネスにとって心強い備えとなります。

楽天ビジネスカードとの比較ポイント:

  • 信頼性と特典: JCBプロパーとしての信頼感と、JCBならではのビジネス優待を重視するならJCB CARD Biz。
  • 付帯保険: サイバーリスクへの備えを重視するならJCB CARD Biz。
  • ポイントとETC: ポイント還元率とETCカードの利便性(複数枚無料)では楽天ビジネスカードが有利。

こんな人におすすめ:

  • JCBブランドの信頼性や優待を重視する方。
  • サイバーセキュリティ対策に関心がある事業者。

マネーフォワード ビジネスカード

マネーフォワード ビジネスカードは、他のカードとは一線を画す「プリペイド型」のビジネスカードです。事前にチャージした金額の範囲内でのみ利用できるため、使いすぎを防ぎ、厳格な予算管理が可能です。

最大の特徴は、申し込みにあたって審査が不要であることです。法人の登記情報や代表者の本人確認が完了すれば、設立直後や赤字決算の企業でも発行できます。

また、最大1億円という高額な利用限度額(ウォレット残高上限)も魅力で、多額の広告費やサーバー費用を支払うIT企業などにも対応できます。

ポイント還元率は利用額に応じて0.5%〜最大1.0%と変動します。会計ソフト「マネーフォワード クラウド」との連携もスムーズです。

楽天ビジネスカードとの比較ポイント:

  • 審査: 審査が不要なマネーフォワードが圧倒的に発行しやすい。
  • 決済方式: クレジット(後払い)の楽天に対し、プリペイド(前払い)のマネーフォワード。キャッシュフローへの影響が異なる。
  • 利用限度額: 高額決済の可能性があるならマネーフォワードが有利。
  • 特典: プライオリティ・パスや旅行保険などの付帯サービスは楽天ビジネスカードが充実。

こんな人におすすめ:

  • クレジットカードの審査に通るか不安な創業者。
  • 使いすぎを防ぎ、厳密な予算管理をしたい事業者。
  • 広告費などで高額な決済が必要な企業。

これらの比較を通じて、楽天ビジネスカードは「ポイント還元」と「楽天経済圏での利用」、「海外出張特典」に強みを持つ、ややプレミアム志向のカードであることがわかります。自社の優先順位と照らし合わせ、最適な一枚を選びましょう。

楽天ビジネスカードに関するよくある質問

楽天ビジネスカードに関するよくある質問

ここまで楽天ビジネスカードについて詳しく解説してきましたが、まだ細かな疑問点が残っている方もいるかもしれません。この章では、申し込みを検討している方から特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。

締め日と支払日はいつですか?

楽天ビジネスカードの利用代金の締め日と支払日(引き落とし日)は、個人向けの楽天カードと同じです。

  • 締め日: 毎月月末
  • 支払日: 翌月27日(金融機関が休業日の場合は翌営業日)

例えば、8月1日から8月31日までに利用した分は、9月27日に指定の口座から引き落とされます。

利用明細は、毎月12日頃に会員専用オンラインサービス「楽天e-NAVI」で確認できるようになります。経理処理の都合上、早めに金額を把握したい場合は、楽天e-NAVIを定期的にチェックすることをおすすめします。

(参照:楽天カード株式会社公式サイト)

利用限度額はいくらですか?

楽天ビジネスカードの利用限度額は、申し込み者ごとの審査によって個別に設定されます。そのため、「いくらからいくらまで」と一概に言うことはできません。

限度額は、楽天プレミアムカードと楽天ビジネスカードで共通の利用枠(ショッピング枠)となります。例えば、共通の利用限度額が300万円と設定された場合、プレミアムカードとビジネスカードの利用額の合計が300万円を超えることはできません。

審査では、申込者の年収、事業の状況、そして個人の信用情報などが総合的に判断され、限度額が決定されます。一般的には、数十万円から始まり、利用実績を積むことで数百万円まで増額される可能性があります。

もし現在の利用限度額では不足する場合は、楽天e-NAVIから増額の申請を行うことができます。ただし、増額申請には再度審査が行われ、必ずしも希望通りになるとは限りません。

国際ブランドは何が選べますか?

2024年現在、楽天ビジネスカードで選択できる国際ブランドは「Visa」のみです。Mastercard、JCB、American Expressなどを選ぶことはできません。

Visaは世界で最も加盟店数が多い国際ブランドであり、日本国内はもちろん、海外のほとんどの国や地域で利用できます。オンライン決済でも幅広く対応しているため、ビジネス用途で利用する上で不便を感じることはまずないでしょう。

Visaが提供するビジネス向けの優待プログラム「Visaビジネスオファー」も利用できるため、実用性は非常に高いと言えます。

楽天ポイントはどのように使えますか?

楽天ビジネスカードの利用で貯まった楽天ポイントは、非常に幅広い用途に利用できるのが大きな魅力です。貯まったポイントは、1ポイント=1円相当として無駄なく活用できます。

主な使い道は以下の通りです。

  1. カードの支払いに充当する(ポイントで支払いサービス):
    貯まったポイントを、月々のカード利用代金の支払いに充てることができます。経費を直接削減できるため、最もおすすめの使い道の一つです。
  2. 楽天市場など楽天グループのサービスで使う:
    楽天市場での備品購入や、楽天トラベルでの出張手配、楽天ブックスでの書籍購入などに利用できます。
  3. 楽天ペイで街のお店で使う:
    スマホ決済アプリ「楽天ペイ」にポイントをチャージすれば、コンビニやスーパー、飲食店など、街中の様々なお店での支払いに利用できます。
  4. ANAマイルに交換する:
    「2ポイント=1マイル」のレートで、ANAのマイレージに交換することも可能です。出張などで飛行機をよく利用する方には嬉しい使い方です。
  5. 楽天ポイントカード加盟店で使う:
    マクドナルドやファミリーマートなど、楽天ポイントカードが使えるお店で、1ポイント=1円として支払いに利用できます。

このように、貯まったポイントの使い道が豊富で、現金同様の価値で経費削減に直結させやすい点も、楽天ビジネスカードの大きなメリットです。