近年、働き方の多様化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に伴い、経理業務の効率化は個人事業主から法人まで、あらゆる事業者にとって重要な課題となっています。その解決策として注目を集めているのが「クラウド会計ソフト」です。
本記事では、数あるクラウド会計ソフトの中でも特に高いシェアを誇る「freee会計」に焦点を当て、その料金プランと機能を徹底的に比較・解説します。この記事を読めば、あなたの事業規模や状況に最適なプランが明確になり、経理業務の効率化に向けた具体的な一歩を踏み出せるようになります。
個人事業主向けのプランから法人向けのプラン、さらには事業の成長に合わせた最適な選び方まで、網羅的にご紹介します。freee会計の導入を検討している方はもちろん、すでに他の会計ソフトを利用しているが乗り換えを考えている方も、ぜひ参考にしてください。
目次
freee会計とは?
freee会計は、freee株式会社が提供するクラウド型の会計ソフトです。2013年のサービス開始以来、その革新的な機能と使いやすさで多くのユーザーに支持され、クラウド会計ソフト市場を牽引する存在となりました。特に、経理や簿記の専門知識がない初心者でも直感的に操作できることをコンセプトに設計されており、これまで経理業務に苦手意識を持っていた多くの事業者のハードルを下げた点が大きな特徴です。
インターネット環境さえあれば、パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットからもアクセスできるため、場所や時間を選ばずに経理作業を進められます。データのバックアップや法改正に伴うソフトウェアのアップデートも自動で行われるため、利用者は常に最新かつ安全な環境で会計業務に集中できます。
簿記の知識がなくても使えるクラウド会計ソフト
freee会計が「簿記の知識がなくても使える」と言われる最大の理由は、その独自のユーザーインターフェース(UI)と強力な自動化機能にあります。
従来の会計ソフトは、「借方」「貸方」といった複式簿記の専門用語が並び、仕訳入力が基本でした。これは簿記の知識がある人にとっては効率的ですが、初心者にとっては大きな壁となります。どの取引がどの勘定科目に該当するのかを一つひとつ判断しなければならず、挫折の原因になりがちでした。
一方、freee会計では、この「仕訳」という概念をユーザーから見えにくいように工夫しています。例えば、経費を登録する際には「会議費」「消耗品費」といった勘定科目を選ぶのではなく、「何の目的で支払ったか?」という質問に答える形式で入力します。具体的には、「取引先との打ち合わせのため」「事務用品の購入のため」といった選択肢を選ぶだけで、freee会計が背後で適切な勘定科目に自動で変換し、複式簿記の形式で帳簿を作成してくれるのです。
この仕組みにより、ユーザーは簿記を意識することなく、日々の取引内容を記録するだけで、会計基準に準拠した正確な帳簿付けが可能になります。これは、経理業務に初めて触れる個人事業主や、経理担当者がいない小規模な法人にとって、計り知れないメリットと言えるでしょう。
さらに、この「簡単さ」を支えるのが、銀行口座やクレジットカードとの連携機能です。一度連携設定を済ませれば、銀行の入出金明細やカードの利用履歴が自動でfreee会計に取り込まれます。取り込まれた明細は、AIが過去の登録パターンを学習し、「この支払先なら、おそらく交際費だろう」といった形で勘定科目を推測してくれます。ユーザーはその推測が合っているかを確認し、ワンクリックで登録するだけ。これにより、手入力の手間が劇的に削減され、入力ミスや漏れを防ぐことにも繋がります。
このように、freee会計は「取引の自動取り込み」と「仕訳の自動推測」という二つの強力な自動化機能によって、簿記の知識がない人でも簡単かつ正確に経理業務を行える環境を提供しているのです。
個人事業主から法人まで幅広く対応
freee会計のもう一つの大きな特徴は、その対応範囲の広さです。開業したての個人事業主から、成長中のスタートアップ、さらには中規模以上の法人まで、あらゆる事業フェーズに対応するプランと機能を備えています。
【個人事業主向け】
個人事業主にとって最も重要な業務の一つが、年に一度の「確定申告」です。freee会計は、この確定申告を強力にサポートします。日々の取引を登録していくだけで、確定申告に必要な「青色申告決算書」や「確定申告書B」といった書類が自動で作成されます。画面の案内に従って質問に答えていくだけで、所得控除の計算なども含めて書類が完成する「確定申告ナビ」機能は、特に初心者から絶大な支持を得ています。
また、電子申告(e-Tax)にも完全対応しており、freee会計上で作成した申告データを直接、もしくは連携ソフトを使って税務署に送信できます。これにより、税務署に出向く手間が省けるだけでなく、青色申告特別控除の最大額(65万円)の適用を受けるための要件も満たしやすくなります。
【法人向け】
法人向けには、個人事業主向けの機能に加えて、より高度な会計・経理業務に対応する機能が搭載されています。会社法に準拠した決算報告書(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書など)の作成はもちろんのこと、消費税の申告書作成、従業員の給与計算や年末調整、経費精算といった人事労務関連の業務まで、バックオフィス業務を幅広くカバーします。
特に、事業が成長し従業員が増えてくると、経費精算や承認フローが複雑になりがちです。freee会計の法人向けプランでは、従業員がスマートフォンアプリから経費を申請し、上長がオンラインで承認、経理担当者が確認して支払処理を行うといった一連の流れをシステム上で完結させることが可能です。
さらに、事業部やプロジェクトごとの損益を管理できる「部門別会計」や、操作履歴の記録や権限設定による「内部統制」に対応する機能も備えており、企業の成長段階に応じて必要となる管理体制の構築を支援します。
このように、freee会計は単なる記帳ツールに留まらず、事業の立ち上げから成長、拡大というライフサイクル全体を通じて、事業者を支える経営プラットフォームとしての役割を果たします。個人事業主としてスタートし、将来的に法人成り(法人化)を考えている場合でも、スムーズにデータを移行し、継続して利用できる点も大きな魅力です。
【個人事業主向け】freee会計の料金プランと機能
freee会計の個人事業主向けプランは、事業の規模や必要な機能に応じて選べるように、主に3つのプランが用意されています。ここでは、それぞれのプランの料金と主な機能、そしてどのような方におすすめなのかを詳しく解説します。料金プランは月払いと年払いが選択でき、年払いを選択すると月額料金が割引になるため、長期的に利用する場合は年払いが断然お得です。
※料金はすべて税込です。最新の情報はfreee会計公式サイトでご確認ください。
料金プラン一覧(月払い・年払い)
プラン名 | 月額(月払い) | 月額(年払い) | 年額(年払い) | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|---|
スターター | 1,628円 | 1,298円 | 15,576円 | 開業したての方、初めて確定申告をする方 |
スタンダード | 2,838円 | 2,618円 | 31,416円 | 毎月の経営状況を把握したい方、消費税申告が必要な方 |
プレミアム | 5,478円 | 4,378円 | 52,536円 | 手厚いサポートを求める方、税務調査に備えたい方 |
(参照:freee会計公式サイト 2024年5月時点) |
スタータープラン
料金
- 月払い: 1,628円 / 月
- 年払い: 15,576円 / 年(月額換算 1,298円)
主な機能
スタータープランは、個人事業主の経理業務に必要な基本的な機能を網羅した、最も手頃なプランです。
- 確定申告書類の作成: 青色申告・白色申告に対応した確定申告書B、青色申告決算書などを自動で作成します。画面の案内に従うだけで申告作業が完了します。
- 電子申告(e-Tax)対応: 作成した申告データを電子的に提出できます。
- 銀行口座・クレジットカード連携: 明細を自動で取り込み、記帳作業を効率化します。
- 請求書・見積書・納品書の作成: デザインテンプレートを使い、簡単に各種書類を作成できます。(発行枚数に一部制限がある場合があります)
- スマホアプリの利用: レシート撮影による経費登録や、外出先での帳簿確認が可能です。
- チャット・メールサポート: 操作で不明な点があれば、専門スタッフに相談できます。
こんな人におすすめ
スタータープランは、「会計ソフトの利用が初めての方」や「開業したばかりで、まずはコストを抑えたいフリーランスの方」に最適なプランです。
確定申告に必要な機能は一通り揃っているため、このプランだけで青色申告(10万円控除・55万円控除・65万円控除)を完結させることが可能です。日々の取引数がそれほど多くなく、複雑な経営分析までは求めていない段階であれば、スタータープランで十分満足できるでしょう。まずは会計ソフトがどのようなものか試してみたい、という方にもおすすめです。
スタンダードプラン
料金
- 月払い: 2,838円 / 月
- 年払い: 31,416円 / 年(月額換算 2,618円)
主な機能
スタンダードプランは、スタータープランの全機能に加え、より高度な経営管理と業務効率化を実現する機能が追加されます。
- スタータープランの全機能
- 月次推移・レポート機能: 売上や費用、利益の推移をグラフで視覚的に確認できます。前年同月比なども簡単に把握でき、経営判断に役立ちます。
- 消費税申告書類の作成: 課税事業者になった際に必要な消費税の申告書(簡易課税・本則課税に対応)を作成できます。インボイス制度にも対応しています。
- 請求書関連機能の強化: 請求書の定期発行(サブスクリプションなど)や、一括作成機能が利用できます。
- 買掛金・売掛金の管理: 支払い予定の管理や、入金消込の効率化が図れます。
- 仕訳承認フロー: 複数人で経理業務を行う際に、入力内容を別の人が承認するフローを構築できます。
こんな人におすすめ
スタンダードプランは、「事業が軌道に乗り、毎月の経営状況をしっかりと把握したい方」や「売上が1,000万円を超え、消費税の課税事業者になった方」に最適です。
特に、月次レポート機能は、どんぶり勘定からの脱却を目指す上で非常に強力なツールとなります。どの経費がかさんでいるのか、売上は順調に伸びているのかをリアルタイムで把握することで、次の打ち手を考えやすくなります。また、インボイス制度の開始に伴い、適格請求書発行事業者になった方や、今後消費税申告が必要になる方にとっては、必須のプランと言えるでしょう。個人事業主にとっては、最もコストパフォーマンスに優れたバランスの取れたプランとして、多くの方に選ばれています。
プレミアムプラン
料金
- 月払い: 5,478円 / 月
- 年払い: 52,536円 / 年(月額換算 4,378円)
主な機能
プレミアムプランは、スタンダードプランの機能に加えて、手厚いサポートと高度な機能を備えた最上位プランです。
- スタンダードプランの全機能
- 電話サポート: チャットやメールでは解決しにくい複雑な問題や、急ぎの用件を電話で直接相談できます。
- 税務調査サポート補償: 税務調査が入った際に、税理士への相談費用などを一定額まで補償してくれるサービスです。(※補償内容には条件があります)
- データのエクスポート機能: 仕訳データや各種レポートをCSV形式などで自由にエクスポートし、Excelなどで二次加工ができます。
- メンバー招待の権限設定: 複数人で利用する際に、メンバーごとに操作できる範囲を細かく設定できます。
こんな人におすすめ
プレミアムプランは、「経理業務に不安が大きく、専門家に電話ですぐに相談できる安心感が欲しい方」や「万が一の税務調査にしっかりと備えたい方」におすすめです。
特に電話サポートは、会計ソフトの操作に不慣れな方や、複雑な取引の処理方法に迷った際に心強い味方となります。また、税務調査サポート補償は、精神的な安心感に繋がります。事業規模が大きくなり、税理士との連携をより密に行いたい場合や、経理データを多角的に分析したいと考えている方にも適しています。安心と高度な機能を最高レベルで求める事業主向けのプランと言えるでしょう。
【法人向け】freee会計の料金プランと機能
法人向けのfreee会計は、設立間もない小規模法人から、従業員を抱える成長企業、さらには内部統制が求められる中規模以上の法人まで、企業の成長ステージに合わせて最適なソリューションを提供できるよう設計されています。個人事業主向けプランと同様に、年払いを選択することで料金が割安になります。
※料金はすべて税込です。最新の情報はfreee会計公式サイトでご確認ください。
料金プラン一覧(月払い・年払い)
プラン名 | 月額(月払い) | 月額(年払い) | 年額(年払い) | こんな法人におすすめ |
---|---|---|---|---|
ミニマム | 2,838円 | 2,618円 | 31,416円 | 設立したての法人、役員1〜2名の法人 |
ベーシック | 5,478円 | 4,378円 | 52,536円 | 従業員を雇用し始めた法人、経理を効率化したい法人 |
プロフェッショナル | 52,536円 | 43,780円 | 525,360円 | 内部統制や詳細な経営分析が必要な中堅企業 |
(参照:freee会計公式サイト 2024年5月時点) |
ミニマムプラン
料金
- 月払い: 2,838円 / 月
- 年払い: 31,416円 / 年(月額換算 2,618円)
- 利用可能人数: 3名まで
主な機能
ミニマムプランは、法人の経理業務に不可欠な基本機能を搭載した、最もリーズナブルなプランです。
- 法人決算書の作成: 会社法に準拠した決算書(貸借対照表、損益計算書など)を自動で作成します。
- 法人税申告書作成支援: 決算書データをもとに、法人税申告に必要な書類の作成をサポートします。(申告には別途、申告ソフトや税理士への依頼が必要です)
- 請求書・見積書の発行: インボイス制度に対応した請求書を簡単に作成・管理できます。
- 銀行口座・クレジットカード連携: 法人口座や法人カードの明細を自動で取り込み、記帳を効率化します。
- チャット・メールサポート: 操作に関する疑問点を気軽に相談できます。
こんな法人におすすめ
ミニマムプランは、「会社を設立したばかりで、まずは経理体制を整えたいスタートアップ」や「役員のみ、あるいは従業員がごく少数のスモールビジネス」に最適なプランです。
社長自身が経理を兼任しているケースも多い設立初期の法人にとって、コストを抑えながら法人に必要な会計業務の土台を築ける点が大きな魅力です。日々の記帳から決算書作成まで、一連の流れをスムーズに行うことができます。まずはこのプランから始め、事業の成長に合わせて上位プランへの移行を検討するのが賢明な選択と言えるでしょう。
ベーシックプラン
料金
- 月払い: 5,478円 / 月
- 年払い: 52,536円 / 年(月額換算 4,378円)
- 利用可能人数: 5名まで
主な機能
ベーシックプランは、ミニマムプランの全機能に加え、経理業務のさらなる効率化と、より詳細な経営管理を可能にする機能が充実しています。
- ミニマムプランの全機能
- 資金繰りレポート: 将来の入出金予測をグラフで可視化し、キャッシュフロー管理を強化します。
- 買掛金・売掛金の消込自動化: 請求書情報と入金明細を照合し、売掛金の消込作業を自動化します。
- 経費精算・承認ワークフロー: 従業員が申請した経費を、設定した承認ルートに沿ってオンラインで処理できます。
- 年末調整機能: 従業員の年末調整に必要な計算から書類作成までを効率的に行えます。(freee人事労務との連携が推奨されます)
- 電話サポート: チャットやメールに加え、電話でのサポートが利用可能になります。
こんな法人におすすめ
ベーসিকプランは、「従業員を雇用し始め、経費精算や給与計算といった労務関連の業務が増えてきた法人」や「経理担当者を配置し、バックオフィス全体の業務効率化を図りたい法人」に最適です。
特に、資金繰りレポートは、黒字倒産のリスクを回避し、安定した経営を行う上で非常に重要なツールです。また、経費精算のワークフロー機能は、紙の伝票やExcelでの管理から脱却し、申請から承認、支払までの時間を大幅に短縮します。多くの成長企業にとって、機能とコストのバランスが最も取れたプランであり、法人のスタンダードプランと位置づけられています。
プロフェッショナルプラン
料金
- 月払い: 52,536円 / 月
- 年払い: 525,360円 / 年(月額換算 43,780円)
- 利用可能人数: 無制限(有償オプションで追加可能)
主な機能
プロフェッショナルプランは、中規模以上の企業やIPOを目指す企業に求められる、高度な会計機能と内部統制機能を備えた最上位プランです。
- ベーシックプランの全機能
- 部門別会計機能: 事業部や店舗、プロジェクトごとに損益を管理し、詳細な経営分析を可能にします。
- 内部統制機能: ユーザーごとの詳細な権限設定、仕訳の承認フロー、操作ログの管理など、上場審査や監査に対応できるレベルの内部統制を構築します。
- 外貨建て取引対応: 外貨での取引を自動で円換算し、為替差損益を計上します。
- 電子帳簿保存法への完全対応: 請求書や領収書などの電子データを、法的要件を満たした形で保存・管理できます。
- 専任担当者による導入支援: スムーズな導入と運用定着をサポートします。(オプションの場合あり)
こんな法人におすすめ
プロフェッショナルプランは、「複数の事業部門を持ち、部門ごとの採算性を厳密に管理したい法人」や「将来的な株式上場(IPO)を視野に入れている成長企業」「監査法人や金融機関への説明責任を果たすため、内部統制を強化したい中堅企業」におすすめです。
部門別会計は、どの事業が利益を生み、どの事業が課題を抱えているかを明確にするための不可欠な機能です。また、厳格な権限管理や承認フローは、不正を防止し、業務の透明性を確保する上で極めて重要です。企業のガバナンスを強化し、持続的な成長を目指すための強力な基盤となるプランです。
あなたに合うプランはどれ?最適なプランの選び方ガイド
ここまで各プランの詳細を見てきましたが、「結局、自分にはどのプランが合っているのか?」と迷う方もいるでしょう。この章では、具体的な事業の状況や目的に合わせて、最適なプランを選ぶためのガイドを提供します。
【個人事業主】状況別のおすすめプラン
個人事業主の場合、事業のステージや経理に求めることによって、最適なプランは大きく異なります。
初めて確定申告をする・開業したばかりの方
→ おすすめプラン:スタータープラン
まだ事業を始めたばかりで売上もそれほど多くなく、とにかく「コストを抑えて確定申告を乗り切りたい」という方には、スタータープランが最も適しています。
このステージで最も重要なのは、会計ソフトの操作に慣れ、日々の取引を漏れなく記録する習慣をつけることです。スタータープランには、確定申告に必要な機能がすべて含まれており、特に「確定申告ナビ」機能を使えば、簿記の知識がなくても質問に答えていくだけで申告書類が完成します。
高価なプランを契約しても、すべての機能を使いこなせなければ宝の持ち腐れになってしまいます。まずはスタータープランで会計業務の基本を学び、事業が成長してより高度な機能が必要になったタイミングで、上位プランへのアップグレードを検討するのが賢明です。
毎月の経営状況を把握し、請求書も発行したい方
→ おすすめプラン:スタンダードプラン
事業が軌道に乗り、毎月の売上や経費をきちんと管理して、「どんぶり勘定から脱却したい」と考えている方には、スタンダードプランがおすすめです。
スタンダードプランの最大の魅力は「月次推移レポート」です。この機能を使えば、売上や利益が前月や前年と比べてどう変化したのかをグラフで一目で確認できます。これにより、「今月は広告費を使いすぎたな」「このサービスの売上が伸びている」といった気づきが得られ、次の経営判断に活かすことができます。
また、請求書の発行枚数が多い方や、サブスクリプション型のサービスを提供していて定期的に請求書を発行する必要がある方にとっても、スタンダードプランの請求書関連機能は非常に役立ちます。事業をさらに成長させるための「経営の羅針盤」として機能するプランです。
消費税申告や電話サポートが必要な方
→ おすすめプラン:プレミアムプラン
前々年の課税売上高が1,000万円を超えたり、インボイス制度への登録によって課税事業者になったりして、「消費税の申告が必要になった」という方には、プレミアムプランが最も安心です。(※スタンダードプランでも消費税申告は可能です)
消費税の計算は複雑であり、ミスが許されません。プレミアムプランであれば、手厚い電話サポートが受けられるため、申告書の作成で不明な点があればすぐに専門スタッフに相談できます。この「すぐに聞ける安心感」は、特に税務に不安を抱える方にとって大きな価値があります。
また、「万が一の税務調査に備えたい」という方にとっても、税務調査サポート補償が付帯するプレミアムプランは心強い存在です。経理業務に関する不安を解消し、本業に集中したいと考える方にとって、最適な選択肢となるでしょう。
【法人】事業規模別のおすすめプラン
法人の場合は、従業員数や事業の複雑性、そして将来のビジョンがプラン選択の重要な鍵となります。
設立直後でコストを抑えたい小規模法人
→ おすすめプラン:ミニマムプラン
会社を設立したばかりで、「まずは法人として必要な経理の体裁を整えたい」「コストは最小限に抑えたい」という小規模法人には、ミニマムプランが最適です。
社長が一人で経理も担当するようなケースでは、複雑な機能は必要ありません。日々の記帳から決算書作成まで、法人の会計業務の基本をこのプランでカバーできます。利用可能人数も3名までなので、役員や経理アシスタントなど、ごく少人数で運営する分には十分です。
freee会計の導入により、創業期に陥りがちな「領収書の山に埋もれる」といった事態を避け、スムーズな経理のスタートを切ることができます。
従業員が増え、経理業務を効率化したい法人
→ おすすめプラン:ベーシックプラン
従業員を雇用し始め、給与計算や経費精算といった業務が増えてきたら、ベーシックプランへの移行を検討すべきタイミングです。
従業員が増えると、Excelや紙での経費精算は非常に煩雑になります。申請者、承認者、経理担当者それぞれの負担が大きくなり、ヒューマンエラーも発生しやすくなります。ベーシックプランの「経費精算ワークフロー」を導入すれば、申請から振込までをペーパーレスで完結でき、バックオフィス業務全体を劇的に効率化できます。
また、「資金繰りレポート」でキャッシュフローを常に監視できるため、従業員の給与支払いや社会保険料の納付など、資金計画が重要になるフェーズにおいて経営の安定性を高めます。成長企業のバックオフィスを支える、最も標準的で強力なプランと言えます。
内部統制や詳細な経営分析が必要な法人
→ おすすめプラン:プロフェッショナルプラン
複数の事業部を展開していたり、IPO(株式上場)を検討していたりするなど、「より高度な経営管理とガバナンス強化が求められる」法人には、プロフェッショナルプランが必須となります。
「部門別会計」機能を使えば、どの事業部がどれだけ利益を上げているのかを正確に把握でき、リソースの最適な配分を決定するための客観的なデータを得られます。これは、多角的な事業展開を行う企業にとって不可欠です。
さらに、IPOを目指す企業にとっては、「内部統制機能」が極めて重要になります。誰がいつ、どのような操作をしたかのログが残り、役職に応じた権限設定や承認フローを厳格に管理できるため、監査法人のチェックにも耐えうる信頼性の高い経理体制を構築できます。企業の信頼性を高め、さらなる飛躍を目指すための戦略的な投資となるプランです。
freee会計を導入するメリット
freee会計が多くの事業者に選ばれる理由は、その多岐にわたるメリットにあります。ここでは、導入によって得られる主な5つのメリットを具体的に解説します。
銀行口座やカード連携で入力作業を自動化できる
freee会計の最大のメリットであり、核心的な機能が「銀行口座やクレジットカードとの連携による入力作業の自動化」です。
従来の手作業による経理では、通帳や利用明細を見ながら、一つひとつの取引を会計ソフトに手で入力する必要がありました。この作業は時間がかかるだけでなく、入力ミスや転記漏れといったヒューマンエラーが発生する温床でした。
freee会計では、お使いのインターネットバンキングの口座やクレジットカードを一度登録するだけで、入出金明細や利用履歴が自動でfreee会計に取り込まれます。取り込まれたデータは「自動で経理」という画面に一覧表示され、AIが過去の仕訳パターンから勘定科目を推測して提案してくれます。例えば、「(株)〇〇電気」からの引き落としがあれば「水道光熱費」、「△△交通」での利用履歴があれば「旅費交通費」といった具合です。
ユーザーは、その提案が正しいかを確認し、クリックするだけで登録が完了します。これにより、これまで何時間もかかっていた入力作業が、わずか数分で終わることも珍しくありません。 この自動化によって生まれた時間を、事業者は売上を上げるための本業や、経営戦略を考えるといった、より付加価値の高い活動に使うことができます。
直感的な操作画面で初心者でも使いやすい
前述の通り、freee会計は「簿記の知識がなくても使える」ことをコンセプトに設計されています。その思想は、画面の隅々まで行き渡っています。
専門用語である「借方」「貸方」「仕訳」といった言葉を極力使わず、「収入」や「支出」といった分かりやすい言葉で操作ができます。取引を登録する際も、勘定科目を選ぶのではなく、「何のために?」という問いに答える形でカテゴリーを選択するだけで、適切な会計処理がなされます。
この直感的なインターフェースは、経理に苦手意識を持つ人にとって、心理的なハードルを大きく下げてくれます。会計ソフトの導入で挫折する多くの原因は「操作が複雑で分からない」ことですが、freee会計はその問題を根本から解決しようとしています。まるで家計簿をつけるような感覚で、気づけば法的に正しい帳簿が作成されている、というのがfreee会計が提供する体験です。
請求書や見積書の作成・管理が簡単
freee会計は、会計機能だけでなく、請求書や見積書、納品書といった帳票の作成・管理機能も非常に優れています。
デザイン性の高いテンプレートが複数用意されており、ロゴなどを設定するだけで、プロフェッショナルな見た目の請求書を簡単に作成できます。作成した請求書は、そのままPDFでダウンロードしたり、メールで送付したり、さらには郵送代行サービスを利用したりすることも可能です。
freee会計内で請求書を作成する最大のメリットは、作成した時点で自動的に「売掛金」として会計帳簿に記録されることです。そして、連携している銀行口座に入金があると、freee会計がその入金情報と請求書情報を照合し、「この入金はこの請求書の分ですね」と提案してくれます。ユーザーが承認すれば、売掛金の消込処理が完了します。
これにより、「請求書はExcelで作り、会計ソフトに別途売上を入力する」といった二度手間が完全になくなります。請求から入金管理、会計処理までが一気通貫で行えるため、業務効率が飛躍的に向上し、入金漏れの防止にも繋がります。もちろん、2023年10月から開始されたインボイス制度にも対応しており、適格請求書発行事業者の登録番号を記載した請求書も簡単に作成できます。
スマートフォンアプリで場所を選ばずに経理ができる
現代のビジネスパーソンにとって、スマートフォンは欠かせないツールです。freee会計は、高機能なスマートフォンアプリを提供しており、場所や時間を選ばない柔軟な経理スタイルを実現します。
アプリの最も便利な機能の一つが「レシート撮影機能」です。外出先で支払った経費のレシートをスマートフォンのカメラで撮影するだけで、OCR(光学的文字認識)技術が日付や金額、店名などを自動で読み取り、データ化してくれます。あとは内容を確認して経費として登録するだけ。これにより、財布の中にレシートを溜め込んだり、後でまとめて入力したりする手間から解放されます。
また、移動中の電車の中や、アポイントの合間といったスキマ時間に、入金状況の確認、帳簿のチェック、簡単な経費登録などができます。「経理は事務所のデスクでやるもの」という固定観念を覆し、ビジネスの機動性を高める強力なツールです。
チャットやメールでのサポートが充実している
新しいツールを導入する際、サポート体制の充実は非常に重要な要素です。freee会計は、ほとんどのプランでチャットサポートやメールサポートを提供しており、ユーザーが安心して利用できる環境を整えています。
操作方法が分からない時や、「この取引はどう処理すればいいの?」といった会計上の疑問が生じた時に、管理画面から気軽に質問できます。専門のサポートスタッフが的確に回答してくれるため、問題を迅速に解決できます。
さらに、上位プラン(個人向けプレミアムプラン、法人向けベーシックプラン以上)では電話サポートも利用可能です。複雑な問題や緊急性の高い要件について、直接会話しながら解決したい場合に非常に心強いサービスです。充実したサポート体制は、ユーザーがfreee会計の機能を最大限に活用し、経理業務をスムーズに進めるための生命線と言えるでしょう。
freee会計のデメリットと注意点
多くのメリットがある一方で、freee会計にはいくつかのデメリットや、導入前に知っておくべき注意点も存在します。ここでは、公平な視点から3つのポイントを解説します。
他の会計ソフトに比べて料金がやや高めに感じる場合がある
freee会計の料金プランは、競合となる他の主要なクラウド会計ソフト(例えば、マネーフォワード クラウド会計や弥生会計 オンライン)と比較した際に、特に最も安価なプランの価格設定が若干高めに感じられることがあります。
とにかく1円でも安く会計ソフトを利用したい、というコスト最優先の方にとっては、この価格差がデメリットに見えるかもしれません。しかし、この料金設定には理由があります。freee会計は、単なる記帳ツールではなく、強力な自動化機能や初心者でも迷わない直感的なUI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)といった付加価値を提供しています。
手入力にかかる時間や、簿記の学習コスト、ストレスなどを考慮すると、多少の価格差を払ってでも得られる「時間の節約」と「使いやすさ」は、多くの事業者にとって十分な投資対効果があると言えます。料金を比較する際は、単純な金額だけでなく、そのソフトが提供する価値や、自分の業務スタイルに合っているかを総合的に判断することが重要です。
独自の操作性に慣れるまで時間がかかることがある
freee会計の「簿記の知識がなくても使える」という独自の操作性は、初心者にとっては大きなメリットですが、逆に、これまで伝統的な会計ソフト(借方・貸方で入力するタイプ)を使ってきた簿記経験者や税理士にとっては、最初は戸惑いの原因になることがあります。
長年慣れ親しんだ複式簿記の形式とは異なるアプローチであるため、「仕訳を直接入力したいのに、どうすればいいのか分からない」と感じることがあるかもしれません。この「freee独自の世界観」に慣れるまでには、ある程度の学習コストや時間が必要になる場合があります。
ただし、この点についてはfreee会計側も配慮しており、「振替伝票」機能を使えば、従来通りの借方・貸方形式で仕訳を直接入力することも可能です。また、多くの税理士事務所もfreee認定アドバイザーとして対応しているため、専門家と連携する際にも問題は少なくなっています。しかし、導入初期には、これまでのやり方との違いに少し我慢が必要な場面があるかもしれない、ということは念頭に置いておくと良いでしょう。
複雑な会計処理には対応しきれない可能性がある
freee会計は、個人事業主や中小企業の日常的な経理業務をカバーするには十分すぎるほどの機能を備えています。しかし、非常に特殊な業種や、大企業で求められるような極めて複雑な会計処理には、完全に対応しきれない可能性があります。
例えば、以下のようなケースです。
- 製造業における詳細な原価計算: 材料の仕入れから製造工程、完成品の在庫管理まで、複雑な原価計算フローをシステムで一元管理したい場合。
- 複数の子会社を持つ企業の連結決算: グループ全体の財務諸表を自動で作成するような高度な連結会計機能。
- 業界特有の非常にニッチな会計基準への対応。
これらの要件がある場合、freee会計のような汎用的なクラウド会計ソフトではなく、その業界や業務に特化したERP(統合基幹業務システム)や、より高機能な会計システムが必要になることがあります。
ただし、これはfreee会計に限った話ではなく、ほとんどのSaaS型クラウド会計ソフトに共通する点です。freee会計がターゲットとするスモールビジネスから中堅企業までの領域においては、その機能は十二分に強力であり、大半の企業にとってはデメリットとはならないでしょう。自社の業務が特殊な要件を必要とするかどうか、事前に確認することが大切です。
他の主要な会計ソフトとの比較
クラウド会計ソフト市場には、freee会計以外にも有力な選択肢があります。ここでは、特に競合として名前が挙がることが多い「マネーフォワード クラウド会計」と「弥生会計 オンライン」との違いを比較し、それぞれの特徴を明確にします。
freee会計とマネーフォワード クラウド会計の違い
freee会計とマネーフォワード クラウド会計は、クラウド会計ソフトの二大巨頭とも言える存在ですが、その設計思想やターゲットユーザーには明確な違いがあります。
比較項目 | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 |
---|---|---|
コンセプト | 簿記知識ゼロでも使える | 簿記知識を活かして効率化 |
操作性 | 勘定科目を意識させない直感的なUI。質問に答える形式での入力。 | 従来の会計ソフトに近いUI。仕訳帳や総勘定元帳が中心。 |
自動化 | AIによる勘定科目の推測・自動登録が強力。 | 金融機関との連携数の多さが強み。データ取込後の仕訳はユーザーが主体。 |
メインターゲット | 経理初心者、個人事業主、ITリテラシーの高いスタートアップ | 簿記知識のある人、経理担当者、税理士との連携を重視する法人 |
料金体系 | 機能に応じたシンプルなプラン構成 | 連携サービス(請求書、経費、給与など)を組み合わせる体系 |
freee会計が「会計の民主化」を目指し、初心者がつまずくポイントを徹底的に排除した設計になっているのに対し、マネーフォワード クラウド会計は、簿記の知識がある人が、クラウドの利便性を活かしてさらに業務を効率化することを得意としています。
具体的には、freee会計は仕訳の自動推測精度が高く、「とにかく楽をしたい」というニーズに応えます。一方、マネーフォワード クラウド会計は、連携できる金融機関やサービスの数が業界トップクラスであり、多様なデータを一元管理したいというニーズに強いです。また、操作画面が伝統的な会計ソフトに近いため、経理経験者にとっては馴染みやすいと感じるでしょう。
どちらが良い・悪いではなく、あなたの経理スキルや求めるものによって最適な選択は変わります。 経理が全くの初めてならfreee会計、ある程度の知識があり、自分で仕訳をコントロールしたいならマネーフォワード クラウド会計、という見方が一つの分かりやすい判断基準になります。
(参照:freee会計公式サイト、マネーフォワード クラウド公式サイト 2024年5月時点)
freee会計と弥生会計 オンラインの違い
弥生会計は、パッケージソフト(デスクトップアプリ)の時代から絶大なシェアを誇る、会計ソフトの老舗です。そのクラウド版が「弥生会計 オンライン」であり、freee会計とはまた異なる強みを持っています。
比較項目 | freee会計 | 弥生会計 オンライン |
---|---|---|
コンセプト | クラウドネイティブなUX/UIと自動化 | 長年の実績と信頼性、手厚いサポート |
操作性 | スマホライクで直感的な操作感 | シンプルで分かりやすいが、伝統的な会計ソフトの形式を踏襲 |
強み | 自動化による業務効率化、スタートアップとの親和性 | 圧倒的なブランド力と信頼性、業界最大級のカスタマーセンター |
メインターゲット | 新しい働き方を求めるフリーランス、DXを推進したい中小企業 | 会計ソフト初心者、安定感を重視する事業者、デスクトップ版からの移行ユーザー |
サポート体制 | チャット・メールが中心(上位プランで電話対応) | 全プランで電話・メール・チャットサポートが利用可能(プランによる) |
freee会計が「革新性」や「効率化」をキーワードとするならば、弥生会計 オンラインは「安心感」や「信頼性」が最大の強みです。
弥生は長年にわたり日本の会計業務を支えてきた実績があり、そのノウハウが製品に反映されています。特に、サポート体制の手厚さには定定評があり、「困ったときに電話で聞ける」という安心感を重視するユーザーから強く支持されています。画面構成もシンプルで分かりやすく、会計ソフトが初めての人でも迷いにくいよう工夫されています。
一方、freee会計は銀行連携からの自動仕訳機能がより強力で、API連携などを活用した他社サービスとの連携も積極的です。よりテクノロジーを活用して、徹底的に業務を自動化・効率化したいという志向のユーザーにはfreee会計が向いていると言えるでしょう。
最新のテクノロジーで経理をスマートにしたいならfreee会計、老舗の安心感と手厚いサポートを求めるなら弥生会計 オンライン、という選択軸が考えられます。
(参照:freee会計公式サイト、弥生会計 オンライン公式サイト 2024年5月時点)
freee会計の始め方|登録から利用開始までの流れ
freee会計の導入を決めたら、早速利用を開始してみましょう。登録から基本的な設定までは、非常に簡単で、数分で完了します。ここでは、利用開始までの3つのステップを解説します。
無料お試しプランに登録する
まずは、公式サイトから無料お試しプランに登録します。多くのプランで最大30日間の無料期間が設けられており、期間中は有料プランのほぼすべての機能をリスクなく試すことができます。
- freee会計の公式サイトにアクセスし、「無料で始める」や「まずは30日間無料お試し」といったボタンをクリックします。
- アカウント作成画面が表示されます。メールアドレスとパスワードを設定するか、Googleアカウント、Microsoftアカウント、またはApple IDと連携して登録することもできます。連携登録を選ぶと、入力の手間が省けてスムーズです。
- 登録したメールアドレスに確認メールが届くので、メール内のリンクをクリックして認証を完了させます。
これでアカウントの作成は完了です。この無料期間中に、操作感や自動連携の便利さを存分に体験し、自分に合ったプランかどうかをじっくり見極めることが重要です。
事業所の基本情報を設定する
アカウントを作成したら、次にあなたの事業に関する基本情報を設定します。この初期設定は、後の会計処理の正確性に大きく影響するため、丁寧に行いましょう。
- ログイン後の画面で、初期設定ウィザードが開始されます。 画面の案内に従って、必要な情報を入力していきます。
- 主な設定項目:
- 事業所の形態: 「個人事業主」か「法人」かを選択します。
- 事業所名(屋号)/会社名: あなたの事業の名前を入力します。
- 会計期間(事業年度): 個人の場合は原則1月1日〜12月31日です。法人の場合は、定款で定めた事業年度を入力します。
- 消費税の課税方式: 「免税事業者」「課税事業者(原則課税)」「課税事業者(簡易課税)」から、自身の状況に合ったものを選択します。不明な場合は「不明」を選択することも可能です。
これらの情報を正しく設定することで、freee会計があなたの事業形態に合わせた適切な設定(勘定科目や申告書の様式など)を自動で行ってくれます。
銀行口座やクレジットカードを連携する
初期設定の最後にして、freee会計の真価を発揮させるための最も重要なステップが、金融機関との連携です。
- メニューから「口座」>「口座を登録」を選択します。
- 連携したい金融機関を検索します。 都市銀行、地方銀行、ネット銀行、信用金庫、クレジットカード会社など、国内外の数多くの金融機関に対応しています。
- 連携したい金融機関を選択し、画面の指示に従ってログイン情報を入力します。 インターネットバンキングのIDやパスワードなどが必要です。この連携には、金融機関と同レベルの強固なセキュリティ技術が用いられており、freee側があなたのログイン情報を保存することはありませんので、安心して利用できます。
- 連携が完了すると、自動的に明細の同期が開始されます。 これで、手入力の手間なく取引データがfreee会計に取り込まれるようになります。
この3つのステップが完了すれば、freee会計を本格的に利用する準備は万端です。あとは、取り込まれた明細を日々確認・登録していくだけで、経理業務が驚くほどスムーズに進んでいくことを実感できるでしょう。
freee会計の料金やプランに関するよくある質問
最後に、freee会計の料金やプランに関して、多くの人が抱く疑問についてQ&A形式で回答します。
無料で使い続けることはできますか?
いいえ、freee会計を永続的に無料で使い続けることはできません。
freee会計には、有料プランの機能を試すための「無料お試し期間」(最大30日間)が設けられています。この期間中は、選択したプランのほぼすべての機能を無料で利用できますが、期間が終了すると、データの閲覧は可能ですが、新たなデータの登録や編集といった主要な機能が制限されます。
継続して利用するには、いずれかの有料プランに申し込む必要があります。無料期間は、あくまで自分に合ったソフトかどうか、どのプランが最適かを見極めるための期間と捉えましょう。
どのプランが一番人気ですか?
freee会計から公式な人気ランキングは発表されていませんが、一般的には、機能と価格のバランスから以下のプランが選ばれることが多い傾向にあります。
- 個人事業主の場合: スタンダードプラン
理由:確定申告の基本機能に加えて、経営状況を把握するための月次レポート機能や、課税事業者になった際の消費税申告機能が含まれており、多くの個人事業主のニーズを満たすため。 - 法人の場合: ベーシックプラン
理由:法人の基本機能に加え、従業員の経費精算や資金繰り管理、電話サポートなど、事業を成長させる上で必要となる機能が網羅されており、コストパフォーマンスが高いため。
もちろん、これはあくまで一般的な傾向です。最も重要なのは、ご自身の事業規模や目的に合ったプランを選ぶことです。
利用途中でプランを変更することは可能ですか?
はい、可能です。
プランのアップグレード(例:スターターからスタンダードへ)は、いつでも即時に行うことができます。 差額の料金を支払うことで、すぐに上位プランの機能が利用可能になります。事業が成長し、より高度な機能が必要になった際に、柔軟に対応できるので安心です。
一方、プランのダウングレード(例:スタンダードからスターターへ)は、現在の契約期間(月払いなら翌月、年払いなら翌年)が終了するタイミングでのみ可能となります。契約期間の途中でダウングレードして、差額を返金してもらうことはできないため注意が必要です。
支払い方法には何がありますか?
freee会計の支払い方法は、主にクレジットカード払いとなります。Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Clubなど、主要なクレジットカードに対応しています。
法人プランの一部では、請求書払いに対応している場合もありますが、基本的にはクレジットカードでの支払いが前提となります。詳細は申し込み時にご確認ください。
(参照:freee会計公式サイト)
年払いと月払いはどちらがお得ですか?
長期的に利用する予定であれば、圧倒的に年払いがお得です。
freee会計のすべてのプランでは、年払いを選択すると月払いに比べて大幅な割引が適用されます。プランにもよりますが、おおよそ「2ヶ月分」程度の料金が割引になるように設定されています。
例えば、月額2,838円のスタンダードプラン(個人向け)の場合、月払いだと年間で34,056円ですが、年払いだと31,416円となり、2,640円お得になります。
もし1年以上利用することが確実であれば、迷わず年払いを選択することをおすすめします。ただし、まずは数ヶ月試してみたいという場合は、月払いで始めて、継続を決めた段階で年払いに切り替えるという方法も可能です。