キャッシュレス決済の導入は、今や店舗経営において避けては通れない重要な要素となっています。顧客の利便性向上はもちろん、会計業務の効率化やデータに基づいた経営戦略の立案にも繋がり、ビジネスの成長を加速させる力を持っています。数あるキャッシュレス決済サービスの中でも、特に個人事業主や中小規模の店舗から注目を集めているのが「STORES決済(ストアーズ決済)」です。
本記事では、STORES決済の導入を検討している事業者様に向けて、そのサービス内容、料金体系、そして実際の利用者からの評判に至るまで、あらゆる情報を網羅的に解説します。メリットだけでなく、注意すべきデメリットや、主要な競合サービスとの比較も交えながら、STORES決済が本当にあなたのビジネスに適しているのかを判断するための材料を詳しく提供します。
目次
STORES決済とは
STORES決済は、hey株式会社が提供する事業者向けのキャッシュレス決済サービスです。スマートフォンやタブレットと専用の決済端末を組み合わせることで、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済といった多様な支払い方法に手軽に対応できるようになります。
このサービスの最大の特長は、実店舗での対面決済だけでなく、同じ「STORES」ブランドが提供するネットショップ作成サービスやPOSレジシステムとシームレスに連携できる点にあります。これにより、オフライン(実店舗)とオンライン(ECサイト)の垣根を越え、売上データや顧客情報、在庫情報などを一元的に管理できる統合的なビジネス環境を構築できます。
特に、初期費用や月額固定費がかからず、発生するコストは決済時の手数料のみというシンプルな料金体系は、コストを抑えたい個人事業主や開業したばかりの小規模店舗にとって大きな魅力となっています。コンパクトで洗練されたデザインの決済端末は、店舗の雰囲気を損なうことなく、スマートな会計シーンを演出します。
対応している決済方法
STORES決済を導入することで、顧客が求める主要なキャッシュレス決済手段のほとんどをカバーできます。多様な支払い方法に対応することは、販売機会の損失を防ぎ、顧客満足度を高める上で非常に重要です。
クレジットカード
クレジットカードは、依然としてキャッシュレス決済の中心的な役割を担っています。STORES決済では、以下の主要6ブランドのクレジットカードに対応しています。
- Visa
- Mastercard
- JCB
- American Express
- Diners Club
- Discover
これだけのブランドをカバーしていれば、国内外のほとんどの顧客のニーズに応えることが可能です。また、ICチップの読み取りによる接触型決済に加え、カードをかざすだけで支払いが完了する「タッチ決済(コンタクトレス決済)」にも対応しています。これにより、会計プロセスがさらにスピーディーになり、顧客とスタッフ双方のストレスを軽減します。特に、衛生面への配慮が求められる飲食店や小売店において、非接触で決済が完了するタッチ決済は大きなメリットとなるでしょう。
電子マネー
近年、急速に利用が拡大している電子マネーにも幅広く対応しています。特に、通勤や通学で日常的に利用される交通系電子マネーに対応している点は、顧客の利便性を大きく向上させます。
STORES決済で利用可能な電子マネーは以下の通りです。
- 交通系電子マネー:
- Suica
- PASMO
- Kitaca
- TOICA
- manaca
- ICOCA
- SUGOCA
- nimoca
- はやかけん
- 全国の主要な交通系電子マネーにこれだけ対応していれば、駅の近くや観光地にある店舗でも、顧客は普段使っているカードでスムーズに支払いを済ませることができます。
- その他の電子マネー:
- iD(アイディ)
- QUICPay(クイックペイ)
- これらはクレジットカード情報を紐付けて利用する「ポストペイ型」の電子マネーであり、幅広い年代に利用されています。
QRコード決済
QRコード決済は、スマートフォンアプリを利用した手軽さから、若年層を中心に利用者が急増しています。STORES決済では、現時点(2024年6月時点)で対応しているQRコード決済は以下の通りです。
- WeChat Pay
WeChat Payは、主に中国人観光客が多く利用する決済サービスです。そのため、インバウンド需要の取り込みを狙う観光地の店舗や免税店などにとっては、非常に重要な決済手段となります。
ただし、日本のユーザーに広く普及しているPayPay、楽天ペイ、LINE Pay、d払いといった国内主要QRコード決済には、現時点では対応していない点に注意が必要です。これらの決済手段への対応を重視する場合は、Airペイなど他の決済サービスとの併用を検討するか、今後のSTORES決済のサービス拡充に期待する必要があります。この点は、後述するデメリットのセクションでも詳しく解説します。
STORES決済の料金体系
キャッシュレス決済サービスを選ぶ上で、コストは最も重要な判断基準の一つです。STORES決済は、そのシンプルで分かりやすい料金体系が高く評価されています。ここでは、初期費用から決済手数料、入金サイクルに至るまで、STORES決済にかかる費用を徹底的に解説します。
初期費用・月額費用
STORES決済の大きな魅力の一つが、導入時のハードルが低いことです。
- 初期費用:0円
- 月額固定費:0円
アカウントの作成や加盟店登録に際して、一切の費用はかかりません。また、サービスを維持するための月額料金も発生しないため、売上がない月にはコストが一切かからないというメリットがあります。これは、売上が不安定になりがちな開業初期の店舗や、特定のシーズンにしか営業しない季節店舗、イベント出店がメインの事業者にとって、非常に安心できるポイントです。
ただし、後述しますが、決済に必要な専用端末の購入費用は別途発生する点には留意が必要です。
決済手数料
STORES決済の運用コストは、基本的に決済が発生した際に引かれる「決済手数料」のみです。この手数料率は、決済方法によって異なります。
決済方法 | 決済手数料率 |
---|---|
クレジットカード (Visa / Mastercard) | 3.24% |
クレジットカード (JCB / American Express / Diners Club / Discover) | 3.24% |
電子マネー (iD / QUICPay) | 3.24% |
交通系電子マネー | 1.98% |
QRコード決済 (WeChat Pay) | 3.24% |
※参照:STORES決済 公式サイト
特筆すべきは、交通系電子マネーの決済手数料が1.98%という業界最安水準である点です。多くの競合サービスが3%台の手数料を設定している中で、この低さは大きなアドバンテージと言えます。駅周辺の店舗や、少額決済が多いコンビニエンスストア、カフェなどでは、交通系電子マネーの利用頻度が高いため、この手数料率の低さが利益率の改善に直接繋がります。
一方で、クレジットカードや主要な電子マネーの手数料は3.24%となっており、これは業界の標準的な水準です。特定の国際ブランド(JCBやAmerican Expressなど)で手数料が高くなるサービスもある中で、STORES決済は主要6ブランドのクレジットカードが一律3.24%で利用できるため、手数料の計算がシンプルで分かりやすいという利点もあります。
入金サイクルと振込手数料
店舗経営において、売上がいつ、どのようにして銀行口座に入金されるかという「入金サイクル」は、キャッシュフローを左右する重要な要素です。STORES決済では、事業者のニーズに合わせて選べる2つの入金方法を提供しています。
入金方法 | 入金サイクル | 振込手数料 | 条件・備考 |
---|---|---|---|
自動入金 | 月末締め、翌月20日払い | 無料 | 売上金額に関わらず手数料はかからない |
お急ぎ振込(手動入金) | 最短翌々営業日に入金 | 無料(売上金10万円以上の場合) | 売上金10万円未満の場合は200円 |
※金融機関の営業日によって変動します。
※参照:STORES決済 公式サイト
自動入金は、毎月の売上が自動的にまとめて入金されるため、入金管理の手間がかからないのが特徴です。月末締めの翌月20日払いというサイクルで、振込手数料は売上金額に関わらず完全に無料です。経理処理をシンプルにしたい、毎月決まった日に入金があれば問題ないという事業者におすすめです。
一方で、「できるだけ早く現金を手元に確保したい」というニーズに応えるのが「お急ぎ振込」です。これは、管理画面から手動で振込をリクエストすることで、最短で翌々営業日には売上金を受け取れるサービスです。急な仕入れが必要になった場合や、資金繰りを安定させたい場合に非常に役立ちます。
このお急ぎ振込は、売上合計額が10万円以上であれば振込手数料が無料になるという点も大きなメリットです。多くのサービスでは、早期入金には別途手数料がかかることが一般的ですが、STORES決済では条件を満たせば無料で利用できます。もし10万円に満たない場合でも、200円(税込)の手数料で利用可能です。
このように、STORES決済は事業者の状況に合わせて柔軟な入金サイクルを選択でき、かつ手数料の負担も最小限に抑えられているため、キャッシュフローの安定化に大きく貢献します。
STORES決済を導入する7つのメリット
STORES決済が多くの事業者に選ばれるのには、明確な理由があります。ここでは、導入によって得られる具体的なメリットを7つのポイントに絞って詳しく解説します。
① 初期費用・月額費用が無料
最大のメリットは、導入と維持にかかる固定費が一切かからないことです。多くのビジネスオーナー、特に個人事業主やスタートアップにとって、初期投資やランニングコストは大きな負担となります。STORES決済は、アカウント登録料などの初期費用も、月々のシステム利用料も0円です。
これは、「まずは試しにキャッシュレス決済を導入してみたい」「売上が立つか分からないけれど、顧客の要望には応えたい」といったニーズに完璧に応えます。例えば、週末だけ開く小さな雑貨店や、月に数回だけ開催するワークショップ、キッチンカーでの移動販売など、売上が不定期なビジネスモデルでも、コストの心配なく導入できます。売上が発生しなければ費用も発生しない従量課金制であるため、ビジネスのリスクを最小限に抑えながら、キャッシュレス化という大きな一歩を踏み出すことが可能です。
② 業界最安水準の決済手数料
日々の利益に直結するのが決済手数料です。STORES決済は、この手数料においても大きな強みを持っています。前述の通り、交通系電子マネーの手数料は1.98%と、他の多くのサービスが3%台である中で突出して低い水準です。
例えば、駅前のコーヒースタンドで、1杯500円のコーヒーが1日に100杯、そのうち半数の50杯が交通系電子マネーで支払われたとします。
- STORES決済(1.98%): 500円 × 50杯 × 1.98% = 495円(手数料)
- 他社サービス(3.24%): 500円 × 50杯 × 3.24% = 810円(手数料)
1日あたり315円、1ヶ月(25営業日)で7,875円、年間では約94,500円もの差が生まれます。このように、少額決済が頻繁に行われる業態ほど、STORES決済の低手数料の恩恵は大きくなります。また、クレジットカードの手数料も主要6ブランドが一律3.24%と分かりやすく、業界標準レベルに抑えられているため、トータルで見てもコストパフォーマンスに優れたサービスと言えます。
③ 最短翌日入金で振込手数料も無料
ビジネスにおけるキャッシュフローの重要性は言うまでもありません。STORES決済の「お急ぎ振込」機能は、この課題を解決するための強力なツールです。
通常、キャッシュレス決済の売上は、月末締め翌月払いなど、入金までにタイムラグが生じます。しかし、STORES決済では、管理画面から申請するだけで最短翌々営業日には売上金を受け取ることが可能です。(※公式サイトでは「最短翌日入金」と表現されており、これは申込のタイミングと金融機関によりますが、非常に早いサイクルであることに変わりありません。)
さらに特筆すべきは、1回の振込依頼額が10万円以上の場合、この早期入金の振込手数料が無料になる点です。多くの競合サービスが早期入金オプションに別途手数料を設定している中、無料で利用できるのは大きなアドバンテージです。これにより、急な仕入れ資金が必要になったり、予期せぬ出費が発生したりした場合でも、手元の現金を心配することなく柔軟に対応できます。資金繰りに悩む多くの事業者にとって、この機能は経営の安定に直結する生命線ともなり得ます。
④ 豊富な決済ブランドに対応
顧客が「使いたい」と思う決済方法が使えないことは、販売機会の損失に直結します。STORES決済は、クレジットカード6ブランド、交通系電子マネー9種類、iD、QUICPay、そしてWeChat Payと、非常に幅広い決済手段に対応しています。
これにより、現金を持ち歩かない若者から、日常的に交通系ICカードを利用する通勤・通学者、クレジットカードをメインに使う層、さらにはインバウンドの外国人観光客まで、あらゆる顧客層の支払いニーズをカバーできます。「この店は〇〇ペイが使えるから入ろう」といった、決済方法を基準とした店舗選びにも応えることができ、集客効果も期待できます。レジ前で「このカードは使えますか?」と聞かれて断る、といった気まずい場面を減らし、スムーズで快適な購買体験を提供できることは、顧客満足度の向上とリピート率のアップに繋がります。
⑤ STORESのネットショップと連携できる
これはSTORES決済ならではの、他社にはない独自の強みです。同じSTORESブランドが提供するネットショップ作成サービス「STORES」と連携させることで、実店舗とオンラインストアの情報を一元管理できます。
具体的には、以下のようなメリットが生まれます。
- 売上管理の効率化: 実店舗とネットショップの売上が同じ管理画面で確認できるため、日々の売上集計や分析が非常に楽になります。
- 在庫連携: どちらかで商品が売れた場合、もう一方の在庫も自動で減るように設定できます。これにより、売り越しによる欠品や、在庫管理の煩雑な手間から解放されます。
- 顧客情報の一元化: 実店舗とネットショップの顧客情報を統合管理できます。これにより、顧客の購買行動をより深く理解し、パーソナライズされたマーケティング施策(例えば、実店舗に来てくれた顧客にネットショップのクーポンを送るなど)を展開できます。
オムニチャネル戦略が重要視される現代において、オフラインとオンラインをシームレスに繋ぐこの連携機能は、ビジネスの成長を強力に後押しするでしょう。
⑥ POSレジと連携して会計業務を効率化
STORES決済は、無料で利用できる高機能なPOSレジアプリ「STORES レジ」と完璧に連携します。これにより、単なる決済にとどまらず、会計業務全体の効率化が図れます。
STORESレジと連携することで、会計時に金額を二度打ちする必要がなくなります。POSレジで会計金額を確定すると、その情報が自動的にSTORES決済端末に送信されるため、入力ミスを防ぎ、会計を迅速化できます。
さらに、STORESレジには、売上分析、商品管理、顧客管理といった機能も搭載されています。どの商品がいつ、どれくらい売れているのか、リピーターはどのくらいいるのかといったデータを可視化できるため、データに基づいた的確な経営判断が可能になります。 これら全ての機能が無料で利用できる「STORES レジ」との連携は、店舗運営を劇的にスマートにしてくれるメリットです。
⑦ 電話やメールでのサポートが充実
初めてキャッシュレス決済を導入する際や、万が一のトラブルが発生した際には、迅速で丁寧なサポート体制が欠かせません。STORES決済は、この点でも安心です。
メールでの問い合わせはもちろん、電話でのサポートにも対応しています。急なトラブルで決済ができなくなった場合など、緊急性が高い状況では電話ですぐに相談できるのは非常に心強いポイントです。公式サイトには詳細なヘルプページも用意されており、よくある質問は自己解決できることも多いですが、それでも解決しない問題に対して専門のスタッフが対応してくれる体制が整っていることは、安心してサービスを利用し続けるための重要な基盤となります。
STORES決済の注意したい2つのデメリット
多くのメリットがある一方で、STORES決済には導入前に知っておくべき注意点も存在します。ここでは、公平な視点から2つのデメリットを深掘りします。
① 決済端末の購入費用がかかる
STORES決済を利用するには、専用の「STORES 決済端末」が必要です。この端末は、通常価格19,800円(税込)での購入が必要となります。初期費用や月額費用が無料であるだけに、この端末代が唯一の初期投資となります。
競合であるSquareやAirペイは、「条件達成で端末代金が無料」といったキャンペーンを恒常的に実施していることが多く、それらと比較すると、STORES決済は初期コストがかかるケースが多いと言えます。もちろん、STORES決済でも不定期に端末代金が無料になるキャンペーンが実施されることはありますが、常に適用されるわけではありません。
「初期投資は1円でも安く抑えたい」と考える事業者にとっては、この端末購入費用はデメリットと感じられるでしょう。導入を検討する際は、キャンペーンの有無を公式サイトで確認することが重要です。ただし、一度購入すれば追加の費用はかからず、その後のランニングコスト(固定費)は無料であるため、長期的な視点で見れば十分回収可能な投資と考えることもできます。スタイリッシュでコンパクトな端末は、店舗の景観を損なわないという価値も提供してくれます。
② 交通系電子マネーの手数料が割高
この見出しを見て、疑問に思った方もいるかもしれません。「メリットの項目で、交通系電子マネーの手数料は1.98%で業界最安水準だと説明されていたではないか」と。その通りです。客観的な事実として、STORES決済の交通系電子マネー手数料1.98%は、他の多くのサービスと比較して非常に安く、大きなメリットです。
ではなぜ、これがデメリットとして語られることがあるのでしょうか。それは、特定の視点や運用方法によっては「割高」あるいは「不便」と感じられる側面があるためです。ここでは、その背景にある2つの理由を解説します。
理由1:決済方法による手数料率の差異と管理の煩雑さ
STORES決済は、交通系電子マネーが1.98%、クレジットカードや他の電子マネーが3.24%と、決済方法によって手数料率が異なります。これは、経理処理を行う際に少し手間がかかると感じる事業者がいる可能性があります。
例えば、Airペイのように、主要なクレジットカード、電子マネー、QRコード決済のほとんどが同じ手数料率(例:3.24%)で統一されているサービスと比較した場合、STORES決済の体系はやや複雑です。日々の売上を仕訳する際に、「この売上は交通系ICだから手数料1.98%で計算して、こっちはクレジットカードだから3.24%で…」と分ける作業が発生します。この管理上の手間を一種の「コスト」と捉えた場合、手数料率が一本化されているサービスの方がシンプルで良い、と考える視点も存在します。
理由2:国内主要QRコード決済への非対応という機会損失
これが、より本質的な理由です。現在、日本のキャッシュレス決済市場では、PayPay、楽天ペイ、d払いといった国内発のQRコード決済が非常に大きなシェアを占めています。しかし、STORES決済はこれらの国内主要QRコード決済に現時点(2024年6月時点)で対応していません(対応はWeChat Payのみ)。
交通系電子マネーの手数料がいくら安くても、顧客が最も使いたいPayPayや楽天ペイが使えないとなれば、その顧客は購入を諦めてしまうかもしれません。この機会損失は、手数料の差額以上に大きな損失となり得ます。
この問題を解決するために、STORES決済と並行して、QRコード決済に対応した別のサービス(例えばPayPayの直接契約など)を導入することも考えられます。しかし、その場合は複数の決済端末や管理画面を運用する必要があり、レジ周りが煩雑になったり、スタッフのオペレーションが複雑になったりするデメリットが生じます。
このように、「STORES決済単体では顧客の決済ニーズを完全にカバーしきれない」という点が、結果的に「トータルで見ると割高(手間や機会損失を含むコストが高い)」と感じられる最大の要因です。交通系電子マネーの低手数料というメリットを最大限に活かすには、自店の顧客層がどの決済方法を主に使用するかを正確に把握する必要があります。
STORES決済の評判・口コミ
実際にSTORES決済を利用しているユーザーは、どのように感じているのでしょうか。ここでは、SNSやレビューサイトで見られる一般的な評判や口コミを「良い評判」と「悪い評判」に分けて紹介します。
良い評判
利用者からは、特にコストパフォーマンスと使いやすさに関して高い評価が寄せられています。
- 「とにかく交通系ICの手数料が安いのが決め手」
- やはり、業界最安水準である1.98%の手数料は大きな魅力として捉えられています。特にカフェやベーカリー、雑貨店など、少額決済が多い店舗のオーナーから「利益に直結する」という声が多く見られます。
- 「初期費用・月額がかからないので、気軽に始められた」
- 個人事業主や副業でショップを運営している人にとって、固定費ゼロの安心感は絶大なようです。「売上がなくても焦らないで済む」「お守り代わりに導入している」といった声もあり、導入ハードルの低さが支持されています。
- 「入金サイクルが早くて助かる」
- 「お急ぎ振込」機能は、キャッシュフローを重視する事業者から高く評価されています。「急な仕入れにも対応できる」「資金繰りの不安が減った」など、経営の安定に繋がっているという意見が目立ちます。
- 「端末がコンパクトでおしゃれ。レジ周りがすっきりした」
- 決済端末のデザイン性も好評です。シンプルで洗練されたデザインは、インテリアにこだわる美容室やアパレルショップ、カフェなどでも景観を損なわないと評価されています。
- 「ネットショップとの連携が神。在庫管理が楽になった」
- STORESのネットショップと併用しているユーザーからは、データ連携機能に対する絶賛の声が上がっています。「実店舗とECの在庫を別々に管理する手間から解放された」「売上分析がしやすくなった」など、運営効率が劇的に向上したという体験談が多数見られます。
悪い評判
一方で、改善を望む声や不満点もいくつか見られます。これらは、導入を検討する上で重要な判断材料となります。
- 「やっぱり端末代が高い…」
- デメリットでも指摘した通り、決済端末の購入費用(19,800円)がネックになっているという意見は少なくありません。「他社のように無料で手に入れたかった」「キャンペーンを待てばよかった」といった声が見られます。
- 「PayPayや楽天ペイが使えないのが痛い」
- これも最大のデメリットとして挙げた点ですが、利用者からの不満の声として最も多いものの一つです。「お客様に『PayPay使えますか?』と聞かれて断るのが心苦しい」「結局、PayPayだけは別に契約してQRコードを置いている」など、国内主要QRコード決済への非対応が大きな機会損失や運用の手間につながっている実情がうかがえます。
- 「審査に思ったより時間がかかった」
- 申し込みから利用開始までの加盟店審査について、「公式サイトに書かれている目安より長くかかった」という口コミも散見されます。特に、特定の業種やオープン直前の申し込みでは、審査に時間がかかるケースがあるようです。導入を検討する際は、スケジュールに余裕を持って申し込むことが推奨されます。
- 「たまにBluetoothの接続が切れる」
- 決済端末とスマートフォン(またはタブレット)はBluetoothで接続して使用しますが、この接続が不安定になることがあるという報告もあります。これは、利用環境(Wi-Fiや他の電子機器との電波干渉)や、使用しているスマートデバイスの性能にも依存する可能性がありますが、会計のピーク時に接続が切れると業務に支障が出るため、改善を望む声が上がっています。
STORES決済はどんなお店におすすめ?
これまでのメリット・デメリット、評判を踏まえて、STORES決済は具体的にどのようなお店やビジネスに最適なのでしょうか。ここでは、3つのタイプに分けておすすめのケースを紹介します。
個人事業主や小規模店舗
初期費用や月額固定費を極力抑えたい個人事業主や、開業したばかりの小規模店舗にとって、STORES決済は最も有力な選択肢の一つです。
- 雑貨店、セレクトショップ: クレジットカードでの高単価な買い物と、交通系電子マネーでの少額な買い物の両方に対応できます。STORESのネットショップと連携すれば、実店舗とオンラインでの販売もスムーズです。
- フリーランスのクリエイター、教室運営者: 対面でのサービス提供(デザイン料、レッスン料など)の際に、その場でクレジットカード決済を受け付けることができます。請求書払いの手間を省き、キャッシュフローを改善できます。
- 週末だけのマルシェ出店者: 売上が不定期なビジネスモデルでも、固定費がかからないため安心して導入できます。スマートフォンと端末さえあればどこでも決済できる手軽さも魅力です。
固定費ゼロという安心感は、事業が軌道に乗るまでの大きな支えとなります。まずはキャッシュレス決済を導入してみたい、というスモールスタートに最適なサービスです。
飲食店やサロン
顧客の利便性向上と店舗運営の効率化が求められる飲食店やサロンにも、STORES決済は多くのメリットをもたらします。
- カフェ、ベーカリー、ラーメン店: 少額決済が多く、会計のスピードが求められる業態です。業界最安水準の交通系電子マネー手数料(1.98%)は、利益率の改善に直接貢献します。また、タッチ決済対応で会計がスムーズになり、ランチタイムなどのピーク時の行列緩和にも繋がります。
- レストラン、バー: 客単価が比較的高くなるため、クレジットカード決済への対応は必須です。主要6ブランドに一律手数料で対応しているため、安心して導入できます。
- 美容室、ネイルサロン、リラクゼーションサロン: 施術後の会計をスマートに行えます。コンパクトでおしゃれな決済端末は、お店の雰囲気を壊しません。無料のPOSレジアプリ「STORES レジ」と連携すれば、顧客ごとの施術履歴や来店サイクルを管理でき、リピート促進のためのDM送付など、きめ細やかな顧客管理が可能になります。
会計業務の効率化と、データに基づいた顧客管理を両立させたい店舗におすすめです。
イベントや移動販売
特定の場所に店舗を構えず、様々な場所でビジネスを展開する事業者にとっても、STORES決済の機動性は大きな武器になります。
- キッチンカー(移動販売車): ランチタイムのオフィス街やイベント会場など、場所を問わずにキャッシュレス決済を提供できます。スマートフォンのテザリング機能を使えば、Wi-Fi環境がない屋外でも利用可能です。現金管理のリスクを減らし、スピーディーな会計で販売機会を最大化します。
- 催事・イベント出店: 百貨店の催事場や大規模なフェスティバルなど、短期間の出店でも固定費を気にせず導入できます。周辺の店舗がキャッシュレス対応している中で、現金のみの対応では大きな機会損失に繋がるため、必須のツールと言えるでしょう。
電源とインターネット接続(スマートフォンの電波)さえあれば、どこでも決済拠点にできる手軽さは、フットワークの軽さが求められるビジネスモデルに最適です。
STORES決済と主要サービス3社を徹底比較
キャッシュレス決済サービスを選ぶ際には、競合サービスとの比較が不可欠です。ここでは、STORES決済と、同じく人気の高い「Square」「Airペイ」「楽天ペイ(実店舗向け)」の4社を、様々な角度から徹底比較します。
項目 | STORES決済 | Square | Airペイ | 楽天ペイ(実店舗向け) |
---|---|---|---|---|
初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
月額費用 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
決済端末代 | 19,800円 (キャンペーンで0円の場合あり) |
7,980円(リーダー) 29,980円(ターミナル) |
20,167円 (キャンペーンで0円) |
19,800円 (キャンペーンで0円の場合あり) |
クレカ手数料 | 3.24%(6ブランド一律) | 3.25%(オンライン3.6%) | 3.24% / 3.74% | 3.24% / 3.74% |
交通系IC手数料 | 1.98% | 3.25% | 3.24% / 3.74% | 3.24% |
QRコード決済手数料 | 3.24%(WeChat Payのみ) | 3.25% | 3.24% / 3.74% | 3.24% |
対応QR決済(国内) | 非対応 | PayPay | ◎ 非常に多い | 楽天ペイ, au PAYなど |
入金サイクル | 自動:月1回 / 手動:最短翌々営業日 | 最短翌営業日 | 月3回 or 6回 | 楽天銀行なら翌日自動入金 |
振込手数料 | 無料(手動で10万円未満は200円) | 無料 | 無料 | 楽天銀行なら無料 |
ネットショップ連携 | ◎ STORES | ◎ Square | △ 要外部連携 | ◎ 楽天市場 |
こんなお店におすすめ | 交通系IC利用が多い、STORESでEC運営、固定費を抑えたい店舗 | 早期入金を重視、豊富なビジネスツールを活用したい店舗 | とにかく多くの決済手段に対応したい店舗 | 楽天経済圏のユーザーが多い、楽天銀行を利用している店舗 |
※上記の情報は2024年6月時点のものです。手数料やキャンペーン内容は変更される可能性があるため、必ず各サービスの公式サイトで最新情報をご確認ください。
※参照:STORES決済 公式サイト, Square 公式サイト, Airペイ 公式サイト, 楽天ペイ 公式サイト
STORES決済
強みは、何と言っても交通系電子マネーの手数料1.98%と、STORESネットショップとのシームレスな連携です。駅前やオフィス街のカフェ、雑貨店など、交通系ICの利用頻度が高い店舗や、すでにSTORESでECサイトを運営している(またはこれから始めたい)事業者にとっては、第一候補となるでしょう。固定費がかからないため、スモールビジネスの第一歩としても最適です。
Square
Squareの強みは、最短翌営業日という圧倒的な入金スピードと、豊富なビジネスツール群にあります。決済サービスに加えて、無料のPOSレジ、予約管理、従業員管理、ギフトカード発行など、店舗運営をトータルでサポートする機能が充実しています。三井住友銀行・みずほ銀行の口座なら手数料無料で翌営業日に入金されるため、キャッシュフローを最優先する事業者におすすめです。
Airペイ
Airペイの最大の魅力は、対応している決済ブランドの数が圧倒的に多いことです。クレジットカード、電子マネーはもちろん、PayPay、d払い、LINE Pay、au PAYといった国内の主要なQRコード決済のほとんどを、一つの端末でカバーできます。「お客様が使いたい決済方法に絶対対応したい」という網羅性を重視するなら、Airペイが最適です。また、iPadとカードリーダーが無料で貸与される「キャッシュレス導入0円キャンペーン」も魅力的です。
楽天ペイ(実店舗向け)
楽天ペイは、楽天経済圏との強力な連携が武器です。楽天銀行を振込先に指定すれば、売上は翌日に自動で、しかも手数料無料で入金されます。また、顧客は楽天ポイントを支払いに使ったり、支払いで貯めたりできるため、楽天ユーザーの集客に繋がります。楽天市場に出店している事業者や、周辺に楽天ユーザーが多い地域の店舗にとっては大きなメリットがあります。
STORES決済導入までの4ステップ
STORES決済の導入プロセスは非常にシンプルで、オンラインで完結します。ここでは、申し込みから利用開始までの流れを4つのステップに分けて解説します。
① オンラインで申し込み
まずはSTORES決済の公式サイトにアクセスし、「お申し込みはこちら」ボタンから手続きを開始します。
- アカウント作成: メールアドレスとパスワードを設定して、STORESのアカウントを作成します。すでにSTORESのネットショップなどでアカウントを持っている場合は、そのアカウントでログインできます。
- 申込情報の入力: 事業形態(法人/個人事業主)、オーナー情報、店舗情報、売上金の振込先口座情報などを、画面の案内に従って入力していきます。この際、事業内容を具体的に記述することが、後の審査をスムーズに進めるポイントです。
② 加盟店審査
申込情報が送信されると、STORESおよび各決済会社の加盟店審査が開始されます。この審査は、事業内容が各社の規約に準拠しているか、反社会勢力との関わりがないかなどを確認するために行われます。
- 審査期間: 通常、3営業日〜1週間程度が目安ですが、業種や申込内容、時期によっては前後することがあります。特にオープンを控えている場合は、余裕を持ったスケジュールで申し込むことをおすすめします。
- 追加書類の提出: 審査の過程で、本人確認書類や事業内容を確認できる書類(登記簿謄本、開業届、店舗の写真など)の提出を求められる場合があります。メールの案内に従って速やかに対応しましょう。
③ 決済端末の購入とアプリの準備
無事に審査に通過すると、メールで通知が届きます。この通知を受け取ったら、決済端末の購入手続きに進みます。
- 決済端末の購入: 管理画面にログインし、決済端末(19,800円)を購入します。キャンペーンが適用される場合は、この時点で割引などが反映されます。
- アプリのインストール: 決済に利用するスマートフォンまたはタブレットに、「STORES 決済」アプリをApp StoreまたはGoogle Playからダウンロードし、インストールしておきます。
決済端末は、通常、注文から数営業日で発送されます。
④ 利用開始
手元に決済端末が届いたら、いよいよ利用開始です。
- 初期設定: 届いた決済端末の電源を入れ、スマートフォン/タブレットのSTORES決済アプリとBluetoothでペアリングします。アプリの画面に表示される案内に従えば、簡単に設定は完了します。
- テスト決済: 実際に少額でテスト決済を行い、レシートの印刷(プリンターがある場合)や決済完了までの流れを確認しておくと、本番のオペレーションも安心です。
以上のステップで、あなたの店舗でキャッシュレス決済が利用できるようになります。
STORES決済に関するよくある質問
最後に、STORES決済の導入を検討する際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
審査期間はどのくらい?
加盟店審査の期間は、申し込み完了から通常3営業日から1週間程度が目安です。ただし、これはあくまで目安であり、申し込む業種や事業内容、提出書類に不備がないかなど、様々な要因によって変動します。例えば、特定商取引法で規制される業種や、許認可が必要な事業の場合は、審査に時間がかかる傾向があります。オープン日が決まっているなど、利用開始を急ぐ場合は、できるだけ早めに、スケジュールに余裕を持って申し込むことが重要です。
個人事業主でも申し込める?
はい、STORES決済は個人事業主の方でも問題なく申し込めます。実際に、多くの個人事業主やフリーランスの方に利用されています。申し込みの際には、法人とは異なる本人確認書類や事業実態を確認する書類が必要になります。一般的には、以下のものが該当します。
- 本人確認書類: 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど
- 事業内容確認書類: 開業届の控え、直近の確定申告書の控え、事業内容がわかるウェブサイトのURLや店舗の写真など
必要な書類は審査の過程で案内されるため、事前に準備しておくとスムーズです。
申し込みに必要なものは?
申し込みをスムーズに進めるために、あらかじめ以下のものを準備しておくと良いでしょう。
- メールアドレス: STORESアカウントの登録や、審査に関する連絡に使用します。
- 事業情報:
- 【法人の場合】法人番号、登記上の本店所在地・電話番号など
- 【個人事業主の場合】氏名、住所、電話番号など
- 店舗情報: 店名、店舗の住所・電話番号、取り扱い商材、ウェブサイトのURLなど
- 売上金の振込先口座情報: 金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義がわかるもの(通帳やキャッシュカード)
- 各種書類:
- 【法人の場合】登記簿謄本(履歴事項全部証明書)など
- 【個人事業主の場合】本人確認書類、開業届など
- その他、業種に応じた営業許可証(飲食店営業許可証、古物商許可証など)
決済端末は必ず購入する必要がある?
はい、STORES決済でクレジットカードや電子マネーの決済を行うためには、専用の「STORES 決済端末」が必ず必要です。スマートフォンやタブレットのアプリだけでは決済はできません。この端末がカードのICチップや磁気ストライプ、電子マネーの非接触ICを読み取る役割を果たします。
端末価格は19,800円(税込)ですが、不定期で実施されるキャンペーンを利用すれば無料で入手できる場合もあります。導入を検討する際には、公式サイトで最新のキャンペーン情報をチェックすることをおすすめします。一度購入すれば、その後の追加費用や交換費用(故障時などを除く)は基本的にかかりません。