海外旅行や出張の際、空港での長い待ち時間をどのように過ごしていますか。「ゲート前の硬い椅子で時間を潰すのは疲れる」「食事や飲み物にお金がかかる」と感じている方も多いのではないでしょうか。そんな空港での過ごし方を劇的に変えることができるのが、「プライオリティパス」です。
プライオリティパスは、世界中の空港ラウンジや特典を利用できる会員制サービスです。航空会社の上級会員でなくても、エコノミークラスやLCC(格安航空会社)を利用する際でも、静かで快適なラウンジでフライト前のひとときを過ごせます。
この記事では、プライオリティパスの基本から、具体的なサービス内容、メリット・デメリット、そして最もお得な入手方法であるクレジットカード付帯について、網羅的に解説します。さらに、プライオリティパスが付帯するおすすめのクレジットカードや、実際の使い方、よくある質問まで詳しくご紹介します。
この記事を読めば、あなたもプライオリティパスを使いこなし、これからの旅をより一層快適で豊かなものに変えることができるでしょう。
目次
プライオリティパスとは
まず、プライオリティパスがどのようなサービスなのか、その基本的な概念から理解を深めていきましょう。プライオリティパスは単なる「ラウンジ利用券」ではなく、旅の質を向上させるための強力なツールです。
世界1,500カ所以上の空港ラウンジなどを利用できる会員制サービス
プライオリティパスは、英国のコリンソン・グループ(Collinson Group)が運営する、世界最大級の独立系空港ラウンジ・プログラムです。2024年現在、世界145カ国以上、600以上の都市に広がる1,500カ所以上の空港ラウンジや空港特典(レストランでの割引、スパ施設の利用など)を提供しています。(参照:プライオリティパス公式サイト)
通常、空港ラウンジは、航空会社が自社の上級会員(マイレージプログラムの上位ステータス保有者)や、ビジネスクラス・ファーストクラスの搭乗者向けに提供しているものが主流です。そのため、利用するには特定の航空会社を頻繁に利用したり、高額な航空券を購入したりする必要がありました。
しかし、プライオリティパスは、そうした航空会社の垣根を取り払った「独立系」のプログラムです。年会費を支払うことで会員となり、提携している世界中のラウンジを利用する権利を得られます。これにより、特定の航空会社に縛られることなく、幅広い空港でVIPな体験が可能になります。
このサービスの背景には、グローバル化の進展と旅行スタイルの多様化があります。様々な航空会社を乗り継いで世界中を旅する旅行者や、コストを抑えるためにLCCを利用する旅行者が増える中で、「どの航空会社を使っても、一定の快適さを確保したい」というニーズが高まりました。プライオリティパスは、まさにそのニーズに応える画期的なサービスとして誕生し、世界中のトラベラーから支持を集めています。
航空会社や搭乗クラスに関係なく利用可能
プライオリティパスの最も大きな特徴であり、最大の魅力ともいえるのが、利用する航空会社や搭乗クラスに一切制限がない点です。
例えば、あなたがLCCのセールで手に入れた格安航空券で旅行する場合を想像してみてください。通常であれば、ラウンジとは無縁で、混雑した搭乗ゲートエリアでフライトを待つことになるでしょう。しかし、プライオリティパスの会員であれば、たとえ搭乗券がエコノミークラスのものであっても、堂々と豪華なラウンジに入室し、フライト前の時間を優雅に過ごすことができます。
これは、航空会社が運営する「航空会社ラウンジ」と、プライオリティパスで利用できる「カードラウンジ」や「独立系ラウンジ」の仕組みの違いによるものです。
- 航空会社ラウンジ: JALの「サクララウンジ」やANAの「ANAラウンジ」などが代表的です。自社および提携航空会社の上級会員や、ビジネスクラス以上の搭乗者を対象としています。サービスは非常に高品質ですが、利用条件が厳しいのが特徴です。
- カードラウンジ: 主にクレジットカード会社が提携して運営しているラウンジです。ゴールドカード以上の保有者が無料で利用できることが多いですが、国内線の空港が中心で、提供されるサービスはソフトドリンク程度と限定的な場合がほとんどです。
- プライオリティパスで利用できるラウンジ: これには、航空会社が運営するラウンジの一部(非ピーク時などに外部プログラムに開放している場合)、空港会社が運営するラウンジ、そして独立系のラウンジ運営会社が提供するラウンじなど、多種多様な施設が含まれます。そのため、アルコールや温かい食事、シャワー施設などを備えた、航空会社ラウンジに匹敵する、あるいはそれ以上に豪華なラウンジも数多く対象となっています。
つまり、プライオリティパスは、これまで一部の限られた旅行者だけのものであった「ラウンジで快適に過ごす」という体験を、より多くの人々に開放したサービスなのです。これにより、フライトの待ち時間は単なる「待機時間」ではなく、旅の楽しみの一部へと昇華します。
プライオリティパスで利用できる主なサービス
プライオリティパスの魅力は、単に「ラウンジに入れる」というだけではありません。ラウンジ内で提供される多彩なサービスや、ラウンジ以外の施設で受けられる特典も、旅の快適性を大きく向上させます。ここでは、プライオリティパスで利用できる主なサービスを具体的に見ていきましょう。
空港ラウンジの利用
プライオリティパスの核となるサービスが、空港ラウンジの利用です。喧騒から離れた静かな空間で、フライトまでの時間をリラックスして過ごせます。提供されるサービスはラウンジによって異なりますが、主に以下のようなものが一般的です。
無料の食事やドリンクサービス
多くのプライオリティパス対応ラウンジでは、軽食(ビュッフェスタイルやアラカルト)やドリンクが無料で提供されます。内容はラウンジのグレードや国・地域によって様々ですが、サンドイッチ、サラダ、スープ、ペイストリー、フルーツといった軽食から、パスタやカレー、温かい肉料理など、しっかりとした食事が楽しめる場所も少なくありません。
ドリンクも、コーヒー、紅茶、ソフトドリンクはもちろんのこと、ビールやワイン、スピリッツといったアルコール類も飲み放題であることがほとんどです。空港内のレストランやバーで飲食すれば数千円はかかることを考えると、これだけでもプライオリティパスを持つ価値は大きいといえるでしょう。特に、乗り継ぎ時間が長い場合や、食事が提供されないLCCを利用する際には、大きな経済的メリットとなります。
Wi-Fi・電源コンセントの利用
現代の旅行者にとって不可欠なのが、インターネット接続とデバイスの充電です。プライオリティパスで利用できるラウンジには、無料の高速Wi-Fiと、各座席に設置された電源コンセント(またはUSBポート)が完備されています。
空港のフリーWi-Fiは、時間制限があったり、速度が遅かったり、セキュリティに不安があったりすることがありますが、ラウンジ専用のWi-Fiは安定しており、快適に利用できます。フライト前に仕事のメールをチェックしたり、動画をダウンロードしたり、家族や友人と連絡を取ったりと、ストレスなく通信が可能です。
また、スマートフォンやPC、タブレットなど、複数のデバイスを持ち歩くのが当たり前になった今、電源の確保は死活問題です。ラウンジなら、搭乗ゲート付近でコンセントを探し回る必要もなく、自分の席でくつろぎながら全てのデバイスをフル充電できます。これにより、機内でもバッテリー切れを心配することなく、エンターテイメントを楽しんだり、仕事を続けたりできます。
シャワーや仮眠施設の利用
長時間のフライトや深夜便・早朝便を利用する際に非常に重宝するのが、シャワー施設です。特に、湿度の高い地域からの帰国便の前や、長い乗り継ぎ時間の合間にシャワーを浴びることで、心身ともにリフレッシュできます。多くの国際線ラウンジには清潔なシャワールームが完備されており、タオルやアメニティも用意されています。フライト前にさっぱりすることで、機内での睡眠の質を高めたり、到着後の活動に備えたりすることができます。
さらに、一部のラウンジには、リクライニングチェアが並ぶ静かな休憩エリアや、個室の仮眠室(ナップルーム)が用意されていることもあります。フライトの遅延や長いトランジットで疲労が溜まった際に、横になって体を休めることができるのは、非常に価値のあるサービスです。これらの施設を有効活用することで、時差ボケの軽減にも繋がります。
空港内のレストランでの割引
近年、プライオリティパスはラウンジ利用だけでなく、サービスの幅を広げています。その一つが、空港内の提携レストランで利用できる割引(ダイニング・クレジット)です。
これは、対象のレストランでの会計時にプライオリティパスを提示すると、一定金額(例えば28〜30米ドル相当)が割引されるというものです。これは実質的に、無料で食事を楽しめることを意味します。ラウンジが混雑している場合や、搭乗ゲートの近くで食事を済ませたい場合、あるいはラウンジの食事よりもレストランのメニューを楽しみたい場合に非常に便利な選択肢となります。
例えば、日本では中部国際空港セントレアの「The Pike Brewing Restaurant & Craft Beer Bar」や、関西国際空港の「ぼてぢゅう屋台」などがこのサービスの対象となっています(※対象店舗は変更される可能性があるため、利用前に公式サイトやアプリでの確認が必要です)。プライオリティパスのアプリを使えば、現在地の空港で利用できるレストランを簡単に検索できます。
この特典は、従来の「ラウンジで待つ」というスタイルに加え、「空港グルメを楽しむ」という新たな価値を提供しており、プライオリティパスの魅力をさらに高めています。
空港内のスパ・リラクゼーション施設の利用
旅の疲れを癒すための究極のサービスとして、一部の空港ではスパやマッサージ施設もプライオリティパスの特典対象となっています。
例えば、フライト前に15分間のマッサージを無料で受けられたり、通常料金から割引を受けられたりといった特典が用意されています。長旅の疲れが溜まりやすい首や肩、足をプロにほぐしてもらうことで、驚くほど体が軽くなります。
これらのサービスはまだ一部の空港に限られていますが、プライオリティパスが単なる待機場所の提供に留まらず、旅行者のウェルビーイング(心身の健康)までを考慮したサービスへと進化していることを象徴しています。利用できる空港に立ち寄る際は、ぜひアプリで検索し、この特別な体験を試してみてはいかがでしょうか。
プライオリティパスを持つ5つのメリット
プライオリティパスが提供する具体的なサービス内容を踏まえ、改めてそのメリットを5つのポイントに整理して解説します。これらのメリットを理解することで、なぜ多くの旅行者がプライオリティパスを求めるのかが明確になるでしょう。
① 豪華なラウンジで出発前の時間を快適に過ごせる
空港での待ち時間と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、人でごった返す搭乗ゲート、硬くて座り心地の悪い椅子、そして絶え間ないアナウンスや騒音ではないでしょうか。プライオリティパスは、このストレスフルな環境から解放してくれる魔法の鍵です。
プライオリティパスでアクセスできるラウンジは、静かで落ち着いた雰囲気が保たれており、ゆったりとしたソファやアームチェアが配置されています。周囲の喧騒を気にすることなく、読書をしたり、音楽を聴いたり、あるいはただ静かに窓の外の飛行機を眺めたりと、思い思いの時間を過ごすことができます。
出発前の慌ただしさから解放され、リラックスした状態でフライトに臨めることは、精神的な余裕を生み出し、旅全体の満足度を大きく向上させます。これは、特に重要なビジネスでの出張や、楽しみにしていたバカンスの始まりにおいて、計り知れない価値を持つメリットです。
② LCC利用時やエコノミークラスでもラウンジが使える
前述の通り、プライオリティパスの最大の革新性は、航空会社や搭乗クラスに関わらずラウンジを利用できる点にあります。これは、旅行のスタイルに大きな自由と価値をもたらします。
近年、LCC(格安航空会社)の台頭により、誰でも気軽に空の旅を楽しめるようになりました。しかし、LCCはコスト削減のため、機内食やドリンクが有料であったり、座席間隔が狭かったりと、サービスの快適性はフルサービスキャリアに劣るのが一般的です。もちろん、ラウンジサービスも提供されません。
ここでプライオリティパスが真価を発揮します。たとえLCCを利用していても、出発前には豪華なラウンジで食事を楽しみ、無料でアルコールを飲み、快適なソファでくつろぐことができます。これにより、「移動コストはLCCで抑えつつ、空港での体験はビジネスクラス並みに楽しむ」という、賢く贅沢な旅のスタイルが実現可能になります。
これは、コスト意識の高い学生や若者はもちろん、出張費を抑えたいビジネスパーソン、そして浮いた予算を現地の滞在費に回したい全ての旅行者にとって、非常に大きなメリットと言えるでしょう。
③ 食事代や飲み物代を節約できる
空港内の物価は、一般的に市街地よりも高く設定されています。ペットボトルの水一本、コーヒー一杯でも割高に感じることが多く、レストランでしっかりとした食事をすれば、数千円の出費は避けられません。特に家族旅行の場合、その負担は決して小さくありません。
プライオリティパスがあれば、こうした空港での飲食費を劇的に節約できます。ラウンジでは、食事やスナック、アルコールを含むドリンクが基本的に無料で提供されるため、空港に到着してから飛行機に乗るまで、財布を開く必要がほとんどなくなります。
例えば、朝早いフライトのために朝食を抜いて空港に来た場合でも、ラウンジで温かい食事とコーヒーをゆっくり楽しめます。長い乗り継ぎ時間がある場合も、昼食や夕食をラウンジで済ませることができ、余計な出費を心配する必要がありません。
年に数回海外旅行に行く人であれば、節約できる飲食費だけでプライオリティパスの年会費(あるいは付帯するクレジットカードの年会費)の元が取れてしまうケースも少なくありません。これは、快適性の向上だけでなく、経済的にも非常に大きなメリットです。
④ フライトの遅延や乗り継ぎ時間も有効活用できる
フライトの遅延や欠航、長時間の乗り継ぎ(トランジット)は、旅行における最大のストレス要因の一つです。予定が狂い、硬い椅子で何時間も待たされるのは、心身ともに大きな負担となります。
しかし、プライオリティパスを持っていれば、こうした予期せぬ待ち時間も、ストレスフルな時間から価値ある時間へと変えることができます。遅延が発表されたら、すぐにラウンジへ向かいましょう。そこには快適な椅子、無料のWi-Fi、電源、そして飲食サービスが待っています。
遅延している間に溜まった仕事を片付けたり、観たかった映画をダウンロードしたり、あるいはシャワーを浴びてリフレッシュしたりと、時間を有効に活用できます。イライラしながら待つのではなく、落ち着いた環境で有意義に過ごせることで、その後の旅程への影響を最小限に抑えられます。
特に、数時間から十数時間にも及ぶ長い乗り継ぎがある場合、ラウンジの存在はまさに「オアシス」です。空港の外に出て観光する時間はないけれど、空港内でずっと待つのは辛い、という状況で、プライオリティパスは最強の味方となってくれるでしょう。
⑤ 世界中の多くの空港でサービスを受けられる
プライオリティパスの強みは、その圧倒的なネットワーク網にあります。世界145カ国以上、1,500カ所以上の拠点でサービスが提供されているため、メジャーな国際空港はもちろん、地方の空港でも利用できる場合があります。
特定の航空会社のアライアンス(スターアライアンス、ワンワールド、スカイチームなど)に縛られないため、様々な航空会社を乗り継いで旅をする周遊旅行や、あまり馴染みのない地域の空港を利用する際にも、ラウンジを見つけられる可能性が高いのです。
プライオリティパスの公式アプリを使えば、現在地や目的地の空港で利用可能なラウンジや特典を簡単に検索できます。ラウンジの場所、営業時間、提供サービス、利用条件といった詳細情報も事前に確認できるため、スムーズな利用が可能です。
このグローバルなカバレッジにより、どこへ旅をしても一定水準の快適さと安心感を得られるというのが、プライオリティパスが世界中のトラベラーに愛される大きな理由の一つです。
プライオリティパスのデメリットと注意点
多くのメリットがある一方で、プライオリティパスにはいくつかのデメリットや利用上の注意点も存在します。これらを事前に理解しておくことで、後で「思っていたのと違った」という事態を防ぎ、サービスを最大限に活用できます。
プランによっては年会費が高額になる
プライオリティパスを公式サイトから直接申し込む場合、その年会費は決して安くありません。特に、利用回数無制限の最上位プラン「プレステージ」は、年会費が469米ドル(2024年6月現在)と、かなりの高額です。(参照:プライオリティパス公式サイト)
年に1、2回しか海外旅行に行かない人にとっては、この年会費は大きな負担となる可能性があります。利用頻度が低いにもかかわらずプレステージ会員になると、コストパフォーマンスが悪くなってしまうでしょう。
ただし、後述するように、多くの人にとって最適な解決策は、プライオリティパスが付帯するクレジットカードを持つことです。クレジットカードの年会費を支払うだけで、このプレステージ会員資格が手に入る場合が多く、直接契約するよりもはるかに経済的です。このデメリットは、入手方法を工夫することで十分に克服可能です。
利用したい空港に対象ラウンジがない場合がある
プライオリティパスは1,500カ所以上の広範なネットワークを誇りますが、世界のすべての空港、すべてのターミナルを網羅しているわけではありません。自分がよく利用する空港や、これから旅行する予定の空港に対象ラウンジが必ずしもあるとは限らない点に注意が必要です。
例えば、日本の玄関口である羽田空港の国際線ターミナル(第3ターミナル)には、プライオリティパスで利用できる「ラウンジ」は2024年6月現在ありません(ただし、レストランでの割引特典は利用可能です)。また、同じ空港内でも、利用する航空会社の搭乗ゲートとラウンジが異なるターミナルにある場合、移動に時間がかかり、利用が現実的でないケースもあります。特に、保安検査後に出国エリアが分かれてしまう空港では、ターミナル間の移動ができないため、利用は不可能です。
したがって、プライオリティパスの利用を前提に旅行計画を立てる際は、必ず事前に公式サイトやアプリで、利用空港・利用ターミナルに対象施設があるかを確認する習慣をつけましょう。
ラウンジの混雑時には利用できないことがある
プライオリティパスの人気が高まるにつれて、ラウンジが混雑し、入場制限が行われるケースが増えています。特に、多くのフライトが集中する時間帯や、旅行シーズンのピーク時には、ラウンジの入り口で「満席のため入場できません」と断られてしまう可能性があります。
また、多くのラウンジでは、利用時間を2〜3時間に制限している場合があります。これは、より多くの会員に利用機会を提供するための措置です。長時間の乗り継ぎで利用しようと考えていても、一度退出しなければならない場合があることを念頭に置いておく必要があります。
せっかくラウンジを楽しみにしていたのに利用できない、という事態を避けるためには、時間に余裕を持って行動し、混雑のピークを避けるなどの工夫が有効です。また、前述のレストラン割引など、ラウンジ以外の特典も代替案として把握しておくとよいでしょう。
同伴者の利用は基本的に有料
プライオリティパスは、原則として会員本人のみが無料利用の対象です。家族や友人、同僚など、会員でない人と一緒に旅行する場合、同伴者は有料となります。
同伴者料金は、1名あたり35米ドル(2024年6月現在)が一般的です。(参照:プライオリティパス公式サイト)カップルや家族で利用すると、その都度追加料金が発生するため、トータルコストが想定以上にかさむ可能性があります。
ただし、この問題にも解決策があります。一部のハイステータスなクレジットカードには、「同伴者1名まで無料」といった特典が付帯している場合があります。パートナーと旅行する機会が多い方は、プライオリティパスを選ぶ際に、同伴者料金の条件も重要な比較ポイントとなります。クレジットカードの選び方については、後の章で詳しく解説します。
クレジットカードの有効期限とパスの有効期限は異なる
プライオリティパスをクレジットカードの付帯サービスで手に入れた場合、見落としがちなのが有効期限の問題です。
プライオリティパスの会員カードには、クレジットカード本体とは別に、独自の有効期限(通常は1年)が設定されています。そして、この有効期限は、クレジットカードの有効期限と一致しません。
カード会社によっては、プライオリティパスの有効期限が近づくと自動的に新しいカードを送ってくれる場合もありますが、中には再度申し込み手続きをしないと更新されないケースもあります。うっかり更新を忘れてしまうと、いざ空港で使おうとした際に有効期限切れで利用できない、という悲しい事態になりかねません。
クレジットカードの更新時や、プライオリティパスの有効期限が近づいてきたら、更新手続きについてカード会社に確認することをおすすめします。また、デジタル会員証を利用すれば、アプリ上で常に有効期限を確認できるため便利です。
プライオリティパスの3つの会員プランと料金
プライオリティパスを公式サイトから直接申し込む場合、利用頻度やスタイルに合わせて3つの会員プランが用意されています。それぞれの特徴と料金を理解し、自分に合ったプランはどれか考えてみましょう。なお、料金は米ドル建てのため、為替レートによって日本円での支払額は変動します。(参照:プライオリティパス公式サイト 2024年6月時点の情報)
プラン名 | 年会費 | 会員本人利用料 | 同伴者利用料 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
スタンダード | 99米ドル | 35米ドル/回 | 35米ドル/回 | 年会費を抑えたい方向け。利用する都度、料金が発生。 |
スタンダード・プラス | 329米ドル | 10回まで無料 11回目以降は35米ドル/回 |
35米ドル/回 | 年に数回~10回程度利用する方向け。 |
プレステージ | 469米ドル | 無料(回数無制限) | 35米ドル/回 | 利用頻度が非常に高い方向け。出張や旅行が多い方に最適。 |
① スタンダード
年会費:99米ドル
スタンダードプランは、3つのプランの中で最も年会費が安いのが特徴です。ただし、ラウンジを利用するたびに、会員本人も35米ドルの利用料金が発生します。同伴者も同様に1名あたり35米ドルです。
このプランは、「プライオリティパスの会員資格は持っておきたいけれど、利用するかどうかは不確定」という方や、年に1、2回程度しか利用しない方向けと言えます。例えば、急なフライト遅延に備えてお守り代わりに持っておきたい、といったニーズには合致するかもしれません。
しかし、一度でもラウンジを利用すると、年会費と利用料の合計は134米ドル(99ドル + 35ドル)となります。年に3回利用すれば、合計コストは204米ドル(99ドル + 35ドル×3)となり、スタンダード・プラスの年会費に近づいてきます。利用頻度がある程度見込めるのであれば、他のプランの方が結果的にお得になる可能性が高いでしょう。
② スタンダード・プラス
年会費:329米ドル
スタンダード・プラスは、年間10回までラウンジを無料で利用できるプランです。11回目以降の利用は、1回あたり35米ドルの料金が発生します。同伴者料金は1回35米ドルです。
このプランは、年に数回(4回〜10回程度)海外旅行や出張に行く、といった中程度の利用頻度の方に最適なプランです。1回あたりの利用コストで考えると、10回利用した場合、1回あたり約33米ドルとなり、スタンダードプランで都度払いするよりもわずかにお得になります。
出張や旅行の回数がある程度決まっている方にとっては、コストと利便性のバランスが取れた選択肢と言えるでしょう。ただし、年会費は329米ドルと決して安くはないため、本当に10回近く利用する見込みがあるかを慎重に検討する必要があります。
③ プレステージ
年会費:469米ドル
プレステージは、会員本人のラウンジ利用が年間を通して回数無制限で無料になる、最上位プランです。同伴者料金は変わらず1回35米ドルです。
このプランは、頻繁に海外出張に行くビジネスパーソンや、世界中を旅するトラベラーなど、空港の利用回数が非常に多いヘビーユーザー向けのプランです。年に14回以上ラウンジを利用する場合、スタンダード・プラス(329ドル)に11回目以降の料金を追加していくよりも、プレステージ(469ドル)の方がお得になります(469ドル ÷ 35ドル ≒ 13.4回)。
利用回数を気にすることなく、いつでも好きな時にラウンジを利用できる安心感は、他のプランにはない大きな魅力です。そして、後述するクレジットカードの付帯サービスで提供されるプライオリティパスは、この「プレステージ」会員資格であることがほとんどです。そのため、多くの人にとって最も身近で、かつ最も価値のあるプランとなっています。
プライオリティパスの2つの入手方法
プライオリティパスを手に入れる方法は、大きく分けて2つあります。それぞれの方法にメリットとデメリットがあるため、ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。
① 公式サイトから直接申し込む
最も直接的な方法は、プライオリティパスの公式サイト(prioritypass.com)にアクセスし、自分で会員プランを選んで申し込むことです。
メリット
- 誰でも申し込める: クレジットカードの審査などがないため、申し込めば誰でも会員になることができます。
- プランを選べる: スタンダード、スタンダード・プラス、プレステージの3つのプランから、自分の利用頻度に合ったものを選べます。
デメリット
- 費用が高額: 前述の通り、年会費が米ドル建てで比較的高額です。特に、最も人気のプレステージ会員になるには、年間469米ドル(日本円で約7万円以上 ※1ドル150円換算)の費用がかかります。
- 特典がプライオリティパスのみ: 得られる特典はプライオリティパスのサービスに限定されます。旅行傷害保険やポイントプログラムといった追加のメリットはありません。
この方法は、何らかの理由でクレジットカードを持てない(または持ちたくない)方や、特定のプラン(例えばスタンダードプラン)をピンポイントで利用したい方以外には、あまり推奨されません。
② クレジットカードの付帯サービスで手に入れる
現在、プライオリティパスを入手する最も一般的で、かつ最もコストパフォーマンスに優れた方法が、付帯サービスとして提供しているクレジットカードに入会することです。
プラチナカードや一部のゴールドカードなど、特定のステータスを持つクレジットカードには、特典の一つとしてプライオリティパスの会員資格が無料で付いてくるものが数多く存在します。
メリット
- 圧倒的にコストパフォーマンスが高い: 多くの場合、クレジットカードの年会費(1万円台から)を支払うだけで、通常なら年会費469米ドルのプレステージ会員資格が手に入ります。
- 豊富な追加特典: プライオリティパスに加えて、手厚い海外・国内旅行傷害保険、空港での手荷物無料宅配サービス、コンシェルジュサービス、ショッピング保険、高いポイント還元率など、クレジットカード本来の多彩な特典も同時に享受できます。
デメリット
- クレジットカードの審査がある: 当然ながら、クレジットカードの発行には所定の審査があります。年収や信用情報によっては、希望のカードが発行されない場合もあります。
- カード発行後に別途申し込みが必要な場合がある: クレジットカードが手元に届いても、自動的にプライオリティパスが送られてくるわけではなく、別途カード会社のウェブサイトなどから申し込み手続きが必要なケースがほとんどです。発行までには数週間かかることもあるため、旅行の予定がある場合は早めに手続きをする必要があります。
総合的に見ると、これからプライオリティパスを手に入れたいと考えているほとんどの方にとって、クレジットカードの付帯サービスを利用するのが賢明な選択と言えるでしょう。
クレジットカード付帯で入手するのが最もお得な理由
なぜ、多くの人が公式サイトでの直接契約ではなく、クレジットカードの付帯サービスを選ぶのでしょうか。その理由は、単に「安いから」というだけではありません。ここでは、その圧倒的なメリットをさらに深掘りしていきます。
カード年会費だけでプレステージ会員資格が得られる場合がある
これが最大の理由です。プライオリティパスの公式サイトでプレステージ会員になろうとすると、前述の通り年会費469米ドルが必要です。これは、為替レートによっては7万円を超える大きな出費です。
しかし、プライオリティパスを付帯するクレジットカードに目を向けてみましょう。例えば、年会費11,000円(税込)の「楽天プレミアムカード」や、年会費22,000円(税込)の「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」など、直接契約よりもはるかに安い年会費で、同等のプレステージ会員資格が手に入るのです。
この価格差は圧倒的です。クレジットカードの年会費を支払うだけで、プライオリティパスのサービスを無制限に利用できる権利と、さらに後述する様々な特典がついてくるのですから、直接契約を選ぶ理由はほとんど見当たりません。年に数回でも海外に行く機会があるなら、クレジットカード経由で入手する方が、経済的合理性の観点から見て賢明な判断といえます。
旅行傷害保険などクレジットカード本来の特典も受けられる
クレジットカード付帯でプライオリティパスを入手するもう一つの大きなメリットは、カード本来の機能や特典もすべて利用できる点です。特に、海外旅行との親和性が高い特典が充実しています。
- 海外旅行傷害保険: プラチナカードクラスになると、最高1億円の補償が付帯していることが多く、病気やケガの治療費、携行品の損害、航空機の遅延による損害などをカバーしてくれます。海外旅行のたびに別途保険に加入する手間と費用を省くことができます。
- 空港手荷物無料宅配: 海外旅行の際、自宅と空港の間でスーツケース1〜2個を無料で配送してくれるサービスです。重い荷物を持って満員電車に乗るストレスから解放され、身軽に空港へ向かうことができます。
- コンシェルジュサービス: 24時間365日対応の専用デスクが、旅行先のレストランやホテルの予約、航空券の手配、ミュージカルのチケット確保などを代行してくれます。旅のプランニングにおける強力なアシスタントとなります。
- ポイント・マイルプログラム: 日常のショッピングや公共料金の支払いでポイントやマイルが貯まり、航空券や商品券などに交換できます。年会費以上の価値を生み出すことも可能です。
これらの特典を個別に利用しようとすれば、相当な費用がかかります。プライオリティパスは、これら豪華な特典パッケージの一部と考えることができます。つまり、あなたはプライオリティパスのためだけに年会費を払うのではなく、旅行と生活を豊かにする総合的なサービスに対して投資していることになるのです。これが、クレジットカード付帯が圧倒的にお得である理由です。
プライオリティパスが付帯するおすすめクレジットカード5選
プライオリティパスが付帯するクレジットカードは数多くありますが、ここでは特に人気が高く、コストパフォーマンスや特典のバランスに優れた5枚を厳選してご紹介します。ご自身のライフスタイルや旅行の頻度に合わせて比較検討してみてください。
(※以下の情報は2024年6月時点のものです。最新の情報や詳細な条件は必ず各カード会社の公式サイトでご確認ください。)
カード名 | 年会費(税込) | プライオリティパス特典 | 同伴者料金 | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|
楽天プレミアムカード | 11,000円 | プレステージ会員資格 ※2025年1月1日より年間5回まで無料に変更 |
3,300円(税込) | 圧倒的なコストパフォーマンス。楽天市場での高還元率。 |
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード | 22,000円 (年200万円以上の利用で次年度11,000円) |
プレステージ会員資格 | 4,400円(税込) | JALマイル還元率が高い。ビジネス向けだが会社員も申込可。 |
三菱UFJカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス®・カード | 22,000円 | プレステージ会員資格 | 2名まで無料(家族会員も対象) | 同伴者2名まで無料。家族カードでも本会員同様の特典。 |
JCBプラチナ | 27,500円 | プレステージ会員資格 | 2,200円(税込) | 日本発ブランドの安心感。充実のコンシェルジュとグルメ優待。 |
ラグジュアリーカード(チタン) | 55,000円 | プレステージ会員資格 | 35米ドル | 金属製カード。同伴者1名まで無料。リムジン送迎など豪華特典。 |
① 楽天プレミアムカード
年会費11,000円(税込)という破格の安さで、プライオリティパスのプレステージ会員資格が手に入ることで絶大な人気を誇るカードです。コストパフォーマンスを最優先に考えるなら、まず検討すべき一枚と言えるでしょう。楽天市場でのポイント還元率が大幅にアップする特典もあり、普段のネットショッピングでもメリットを享受できます。
【重要注意点】
2025年1月1日以降、楽天プレミアムカードに付帯するプライオリティパスのラウンジ利用は、年間5回までに制限されます。(参照:楽天カード株式会社公式サイト)
これまでのように無制限での利用はできなくなるため、年に6回以上ラウンジを利用する予定の方は、他のカードを検討する必要があります。とはいえ、年に1〜2回の海外旅行で5回以内の利用であれば、依然として非常に魅力的な選択肢です。
② セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
「ビジネス」と名が付いていますが、個人事業主や経営者だけでなく、安定した収入のある会社員でも申し込むことが可能です。年会費は22,000円(税込)ですが、年間200万円以上利用すると次年度の年会費が半額の11,000円(税込)になる優遇措置があります。
このカードの大きな魅力は、JALマイルの還元率が最大1.125%と非常に高い点です。プライオリティパスを利用しつつ、効率的にマイルを貯めて特典航空券を狙いたい方には最適なカードです。もちろん、プラチナカードならではのコンシェルジュサービスや手厚い旅行保険も付帯しています。
③ 三菱UFJカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス®・カード
家族で旅行する機会が多い方に特におすすめなのがこのカードです。年会費は22,000円(税込)で、プライオリティパスのプレステージ会員資格が付帯します。最大の特徴は、同伴者1名まで無料でラウンジを利用できる点です。通常、同伴者は有料なため、パートナーと二人で旅行する際には大きなメリットとなります。
さらに、家族カード会員(1枚目無料)も、本会員とほぼ同等のプライオリティパス会員資格やコンシェルジュサービスを利用できるという、他にはない手厚い特典があります。家族それぞれが別の場所でラウンジを利用することも可能です。また、手荷物無料宅配サービスも往復で利用できるなど、旅行関連のサービスが非常に充実しています。
※2024年8月1日発行分より、同伴者無料特典が適用外となる改定が発表されています。詳細は公式サイトをご確認ください。(参照:三菱UFJニコス株式会社公式サイト)
④ JCBプラチナ
日本唯一の国際カードブランドであるJCBが発行するプラチナカードです。年会費は27,500円(税込)。海外での安心感はもちろん、国内での特典が充実しているのが特徴です。
プライオリティパスのプレステージ会員資格に加えて、24時間365日対応の「プラチナ・コンシェルジュデスク」の評価が非常に高く、きめ細やかな対応が期待できます。また、国内の厳選されたレストランで1名分のコース料金が無料になる「グルメ・ベネフィット」など、食を楽しむ方にも魅力的な特典が満載です。日本のサービス品質にこだわりたい方におすすめの一枚です。
⑤ ラグジュアリーカード
年会費は高額ですが、他を圧倒する特典とステータスを提供するカードです。最もベーシックな「チタンカード」(年会費55,000円)でも、プライオリティパスのプレステージ会員資格が付帯し、同伴者1名まで無料でラウンジを利用できます。
このカードの真骨頂は、プライオリティパス以外の豪華な特典にあります。カード自体が金属製で所有欲を満たし、往復のリムジン送迎サービスや、国立美術館の無料鑑賞、映画館での優待など、日常生活を豊かにするユニークな特典が揃っています。年会費以上の価値を見出せる、特別な体験を求める方向けのカードです。
プライオリティパスが付帯するクレジットカードの選び方
数ある選択肢の中から、自分にとって最適な一枚を見つけるための3つの視点をご紹介します。これらのポイントを基に、ご自身の使い方をシミュレーションしてみましょう。
年会費とラウンジ利用回数のバランスで選ぶ
まず考えるべきは、「自分の旅行頻度に対して、カードの年会費は見合っているか?」という点です。
- 年に1〜2回の海外旅行(ラウンジ利用5回以内): 楽天プレミアムカードは依然として最有力候補です。年会費11,000円で5回利用できるのは、非常に高いコストパフォーマンスです。
- 年に3回以上の海外旅行(ラウンジ利用6回以上): 楽天プレミアムカードの回数制限を超えるため、年会費2万円台のセゾンプラチナ・ビジネス、三菱UFJプラチナ、JCBプラチナなどが選択肢となります。これらのカードは回数無制限なので、利用すればするほどお得になります。
- 出張などで頻繁に利用するヘビーユーザー: 年会費2万円台のカードで十分な恩恵を受けられます。あとは、後述する同伴者料金や付帯特典で比較検討しましょう。
自分の年間のフライト回数や乗り継ぎの有無を具体的に数え、ラウンジを何回利用しそうかを予測することが、最適なカードを選ぶ第一歩です。
同伴者の利用料金で選ぶ
次に、「誰と旅行することが多いか」を考えましょう。常に一人旅であればこの項目は気にする必要はありませんが、パートナーや家族、友人と旅行する機会が多い場合は非常に重要なポイントになります。
- 基本的に一人旅: どのカードを選んでも、本会員は無料で利用できるため問題ありません。
- 特定の1名(パートナーなど)と旅行することが多い: 同伴者1名無料の特典が付帯するカードが断然お得です。三菱UFJプラチナ(※改定に注意)やラグジュアリーカードが候補となります。例えば、年会費22,000円の三菱UFJプラチナで年に3回、二人でラウンジを利用した場合を考えます。もし同伴者有料(1回3,300円と仮定)のカードであれば、3,300円×3回=9,900円の追加費用がかかりますが、このカードならそれが無料になります。
- 家族(配偶者や子供)と旅行することが多い: 家族カードでもプライオリティパスが発行される三菱UFJプラチナは非常に強力な選択肢です。本会員と家族会員がそれぞれプライオリティパスを持つことで、例えば4人家族(夫婦+子供2人)の場合、本会員+同伴者1名、家族会員+同伴者1名という形で、全員が無料でラウンジを利用できる可能性があります(※ラウンジごとの同伴者上限数の確認は必要)。
同伴者料金は1回あたり3,000円〜4,000円程度かかります。これが積み重なると大きな金額になるため、旅行スタイルに合わせて慎重に選びましょう。
旅行傷害保険やその他特典の内容で選ぶ
プライオリティパスはあくまで特典の一つです。クレジットカードを選ぶ際は、カード全体として提供される価値を見極めることが重要です。
- 保険の手厚さを重視するなら: 各カードの海外旅行傷害保険の補償額や適用条件(利用付帯か自動付帯か)を比較しましょう。特に、病気やケガの治療費用、航空便遅延費用保険の有無はチェックしておきたいポイントです。
- マイルを貯めたいなら: JALマイルを貯めたいならセゾンプラチナ・ビジネス、ANAマイルを貯めたいなら他のカードのポイント移行レートなどを比較します。
- グルメやエンタメを楽しみたいなら: JCBプラチナのグルメ・ベネフィットや、ラグジュアリーカードの映画優待など、ライフスタイルを豊かにする特典に注目するのも良いでしょう。
- コンシェルジュサービスを重視するなら: 各社のコンシェルジュの評判を口コミなどで調べてみるのも一つの方法です。旅のプランニングを任せたい方にとっては、サービスの質がカードの満足度を大きく左右します。
プライオリティパスという「点」で選ぶのではなく、旅行全体、ひいては生活全体を豊かにしてくれるかという「面」でカードを比較することで、後悔のない選択ができるはずです。
プライオリティパスの基本的な使い方【3ステップ】
プライオリティパスを手に入れたら、いよいよ実践です。実際の空港での使い方は非常にシンプルで、誰でも簡単に行えます。ここでは、その基本的な流れを3つのステップで解説します。
① 公式サイトやアプリで利用できるラウンジを探す
空港に到着してからラウンジを探し始めるのではなく、出発前に利用可能な施設を調べておくことがスムーズな利用のコツです。最も便利なのが、プライオリティパスの公式スマートフォンアプリです。
アプリをダウンロードし、会員番号を登録しておけば、以下のことが可能になります。
- 空港名(3レターコードでも可)で検索し、利用可能なラウンジや特典の一覧を表示
- 各ラウンジの場所(ターミナルやゲート番号)、営業時間、提供サービス(食事、シャワー、Wi-Fiの有無など)、利用条件(利用時間制限など)の詳細を確認
- オフラインでも検索データを利用可能(事前にダウンロードしておく必要あり)
- デジタル会員証を表示
特に、どのターミナルにラウンジがあるか、保安検査の前か後かは重要なポイントです。自分の搭乗ゲートからの距離も考慮して、どのラウンジを利用するか計画を立てておきましょう。
② ラウンジの受付で会員証を提示する
利用したいラウンジを見つけたら、受付カウンターへ向かいます。入室の際には、以下の2点(場合によっては1点)を提示する必要があります。
- プライオリティパスの会員証(カードまたはデジタル)
- 当日の搭乗券
会員証には、物理的なプラスチックカードと、アプリで表示するデジタル会員証の2種類があります。
デジタル会員証(アプリ)
スマートフォンのアプリに表示されるQRコードを提示します。現在、ほとんどのラウンジがこのデジタル会員証に対応しており、カードを持ち歩く必要がないため非常に便利です。アプリを起動し、画面下部のカードアイコンをタップすればすぐに表示できます。
プラスチック製の会員カード
クレジットカードとは別に送られてくる、プライオリティパス専用の会員カードです。ごく一部のラウンジでは、まだデジタル会員証に対応しておらず、この物理カードの提示を求められる場合があります。万が一の事態(スマホのバッテリー切れなど)に備え、旅行の際は物理カードも財布に入れておくとより安心です。
受付スタッフが会員証と搭乗券を確認し、利用資格があるかをチェックします。
③ 利用伝票にサインをして入室する
受付での本人確認が終わると、スタッフから利用伝票(レシートのようなもの、あるいはタブレット端末)を提示されます。ここには、利用者名、会員番号、利用日時、同伴者の人数などが記載されています。
内容に間違いがないかを確認し、サインをします。たとえ利用料金が無料のプラン(プレステージ会員)であっても、利用記録のためにこのサインは必要です。同伴者がいて料金が発生する場合は、この伝票が後日クレジットカード会社に送られ、請求の根拠となります。
サインが済めば、手続きは完了です。あとはラウンジに入室し、フライトまでの時間を自由に、そして快適に過ごすだけです。
プライオリティパスに関するよくある質問
ここでは、プライオリティパスに関して多くの人が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
同伴者は何人まで利用できますか?料金は?
同伴者の人数と料金は、利用するラウンジの規定と、あなたが持つプライオリティパスのプラン(または付帯するクレジットカードの特典)によって決まります。
- 人数: 多くのラウンジでは、会員1名につき1〜3名程度の同伴者が認められていますが、これはラウンジの裁量に委ねられています。混雑時などは同伴者の利用を断られる場合もあります。正確な人数は、プライオリティパスのアプリで各ラウンジの詳細情報を確認するのが確実です。
- 料金: プライオリティパスの公式サイトから直接申し込んだ場合、どのプランでも同伴者料金は1名あたり35米ドルです。クレジットカード付帯の場合も、多くはこの料金に準じますが、カード会社によって円建て(例: 3,300円、4,400円など)で設定されている場合があります。
- 同伴者無料特典: 前述の通り、三菱UFJプラチナやラグジュアリーカードなど、一部のクレジットカードには「同伴者1名(または2名)無料」の特典が付いています。これらのカードを持っている場合は、規定の人数まで無料で同伴できます。
プライオリティパスの有効期限はいつまでですか?
プライオリティパスの有効期限は、会員カード(物理カードまたはデジタル会員証)に「Valid Thru」や「Expires End」といった形で記載されている年月です。通常、発行から1年間です。
重要な注意点として、この有効期限は、付帯元であるクレジットカードの有効期限とは異なります。 クレジットカードがまだ有効でも、プライオリティパスの期限が切れていればラウンジは利用できません。
更新方法はカード会社によって異なり、「自動更新で新しいカードが送られてくる」「毎年、再度申し込み手続きが必要」など様々です。有効期限が近づいたら、カード会社のウェブサイトで確認するか、コールセンターに問い合わせることをおすすめします。
カードを紛失した場合はどうすればいいですか?
プライオリティパスの物理カードを紛失・盗難された場合は、速やかに発行元に連絡する必要があります。
- クレジットカード付帯の場合: まずは、そのクレジットカードの紛失・盗難受付デスクに連絡してください。カードの利用停止と再発行の手続きと合わせて、プライオリティパスの再発行についても案内が受けられます。
- 公式サイトから直接申し込んだ場合: プライオリティパスの会員サービスに直接連絡して、再発行の手続きを行います。
なお、デジタル会員証が利用できる場合は、物理カードの再発行を待っている間も、アプリを使えばラウンジを利用できる可能性があります。
日本国内ではどこで使えますか?
日本国内でも、主要な国際空港でプライオリティパスを利用できます。主な対象空港は以下の通りです。(2024年6月時点)
- 成田国際空港(NRT): 複数のラウンジ(I.A.S.S Superior Lounge、KAL Business Class Loungeなど)が利用可能です。
- 関西国際空港(KIX): KAL Business Class Loungeや、レストラン「ぼてぢゅう屋台」での割引特典などが利用できます。
- 中部国際空港セントレア(NGO): KAL Loungeや、レストラン「The Pike Brewing Restaurant & Craft Beer Bar」での割引特典など、選択肢が豊富です。
- 福岡国際空港(FUK): KAL LoungeやラウンジFUKUOKAが利用できます。
- 羽田空港(HND): 第3ターミナル(国際線)にはプライオリティパスで利用できる「ラウンジ」はありません。ただし、TIAT LOUNGE ANNEXが利用できる場合がありますが、利用条件が厳格なためアプリでの確認が必須です。第1・第2ターミナル(国内線)では、一部のカードラウンジが利用できますが、これはプライオリティパスの特典ではなく、ゴールドカード等の特典となりますので混同しないよう注意が必要です。
※対象施設は頻繁に変更されるため、利用直前に必ずプライオリティパス公式アプリやサイトで最新情報をご確認ください。
デジタル会員証だけで利用できますか?
はい、現在では99%以上のラウンジがデジタル会員証に対応しています。 そのため、基本的にはスマートフォンとアプリさえあれば、物理カードがなくてもラウンジを利用できます。
しかし、ごく稀にシステムが対応していないラウンジや、アプリの不具合、スマートフォンのバッテリー切れといった不測の事態も考えられます。心配な方や、より確実に利用したい方は、念のため物理カードも携帯しておくことを推奨します。
まとめ
本記事では、プライオリティパスの基本からメリット・デメリット、お得な入手方法、具体的な使い方まで、網羅的に解説してきました。
最後に、この記事の要点をまとめます。
- プライオリティパスは、航空会社や搭乗クラスを問わず、世界1,500カ所以上の空港ラウンジや特典を利用できる会員制サービスです。
- ラウンジでは、無料の飲食サービス、Wi-Fi、電源、シャワーなどが利用でき、フライト前の待ち時間を快適で有意義なものに変えられます。
- 最大のメリットは、LCCやエコノミークラス利用時でも豪華なラウンジが使える点と、飲食費の節約、フライト遅延時の避難所として活用できる点です。
- デメリットとしては、年会費の高さや、一部空港で使えない可能性があること、同伴者が有料であることなどが挙げられます。
- 最もお得で賢い入手方法は、公式サイトでの直接契約ではなく、プライオリティパスが付帯するクレジットカードを持つことです。
- クレジットカード付帯であれば、通常年会費469米ドルのプレステージ会員資格を、1万円台からのカード年会費で手に入れることができ、さらに手厚い旅行保険などの特典も享受できます。
- カードを選ぶ際は、年会費と自身のラウンジ利用回数のバランス、同伴者と旅行する頻度、そして旅行保険やその他の付帯特典を総合的に比較検討することが重要です。
プライオリティパスは、単なる「ラウンジ利用権」ではありません。それは、旅のストレスを軽減し、予期せぬトラブルさえも快適な時間に変え、あらゆるフライト体験の質を一段階も二段階も引き上げてくれる、現代の旅行者にとっての必須アイテムと言えるでしょう。
これまで空港での待ち時間に疲れやストレスを感じていた方は、ぜひプライオリティパスの導入を検討してみてください。特に、クレジットカードの付帯サービスを利用すれば、驚くほどのコストパフォーマンスで、あなたの旅はもっと自由に、もっと豊かになるはずです。